9話「勝手に覚醒」
私は昔から面倒見がいいと言われとった。村の子供達もよく見とったし、皆からも慕われとった。だから、母親のためにお金を稼ぐミカのことも守ろうと思った。絶対に苦しい思いをさせんように。だから、ミカの魔法がたまたま仲間に当たったのも私の管理不足やと思った。ミカが許せないんやない。そこまで気を配れなかった自分が許せんかった。
「ミカ....他の魔法使えるんか?」
レイアは不安そうな、責任を感じているような表情でミカを見つめる。ミカがあの誤射以降人を傷つける魔法を自主的に封印していたのは知っていた。全てを1人で受け止めようとしていたことを知っていた。
「うん、もう私は自分に甘えない。私が...やらなきゃ!」
違う。悪いのはミカやない。甘えとったのは...ミカの"他責をしないという優しさ"に甘えとったのはこの私...。自らへの怒りが込み上げてくる。ふとミカからハヤトと呼ばれていた男の方を見るとレイアと同じように口を歪めていた。
(そうか...この男も怒ってるんや自らの至らなさに)
レイアは強く一歩踏み出しミカに言う。
「私が前に出て隙を作る。ミカの魔法にでかいためがいるのは知ってるしな」
「でも、そんなことしたら!」
ミカはまた味方に魔法を当ててしまうのをやはり怖がっているようだった。
「おかげさまで私は丈夫なんですわ。だから大丈夫」
レイアは盾を構えながら言う。お嬢様のようなスカートがふわっと揺れる。
「それに...私はミカを信じとる」
「レイアちゃん..」
ミカはハヤトの方を振り返る。ハヤトは無言で腕を震わせている。
(ハヤトさん、あんなに腕を震わして私を鼓舞してくれているんだ...!)
ふぅっと息を吐き、杖を構える。同時にサイクロプスが突進してきていた。
「レイアちゃん!」
レイアが前に飛び出していく。
「いかせませんわ!」
サイクロプスの拳をなんとか受け止めたレイアは飛ばされそうになるのを気合いで耐える。
「ミカ!」
レイアの呼びかけに答えるようにミカは杖から炎の玉を大きくしている。
「もっと...もっと大きく!!」
俺は我にかえる。しまった、怒りのあまり意識が朦朧としていた。前方を見るとレイアがサイクロプスの拳を止めている。そして....
(ミカが炎を出している!?)
おかしい、ミカは治癒の魔法しか使えないはずだ。まさか嘘だったのか?とにかくどういう状況か聞かなければ。
「ミカ!今だ!」
レイアが一気に力を込め、サイクロプスの体制を崩す。
「ミカ!」
俺は状況を聞くためミカの名を叫ぶ。だが、それをミカは合図と受け取った。
「分かりました!いけぇぇ!」
ミカの杖から炎の玉が射出される。そしてその玉はサイクロプスに直撃し、爆発した。
「すごい...」
初心者3人組が思わず声を漏らした。そして俺は、全く状況が理解できていなかった。




