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7話「初めてのダンジョン②」

「ミカは治癒系魔法が使えるんだろ?どれぐらいの傷なら治せるんだ?」

ダンジョンに入る前、俺はミカに聞いた。どのレベルの傷を治せるかによって、どの程度レイア達を傷つけるかの基準が変わるからだ。

「そうですね...ちょっとの切り傷なら多分....」

「あまり、当てにならないな」

やはり、レイア達が少し苦戦する程度の魔物を差し向けるのが良いだろう。

「うぅ、すみません、私治癒系の魔法は弱いんですぅ」

その言葉が俺の頭のどこかで引っ掛かっていた。治癒系の魔法"は"?それではまるで他の魔法も使えるような...。まあ良い。どっちみち、俺は後方で見ていて終わりそうな頃に近づいていくだけで良い。俺自身が怪我をするわけじゃないのだ。ミカの魔法をそこまで把握しておく必要はない。そう、俺は安全に....





「助けてぇ!!」

情けない悲鳴をあげながらミカは走ってきている。その後ろには2メートルはあろう一つ目のサイクロプスがミカを捕まえようと追ってきている。

「あれは...サイクロプスか!君達は私の後ろに!」

レイアが盾を構え、俺たちに言う。なんてことだ。俺は後方待機するはずだったのに前線に立ってしまっている。このままだと...

「お兄さんも早く!」

初心者3人組の中の1人に言われ、俺はレイアの後ろに隠れる。

「このままだとあのお姉ちゃん捕まっちゃう!」

弓を持った少女が言う。確かにミカは今にも捕まりそうになっていた。レイアがいるところまではあと数メートルはある。

(まずい、このままだとミカが死ぬ...死ぬ?)

俺は考えを巡らす。....むしろそれで良いのでは?





そもそもこの作戦はミカを殺すための、いわば準備だった。もしその準備で目的を果たせるとしたらこれ以上のことはない。俺は盾の横から顔を出す。ミカは泣きじゃくりながら走ってきている。どう言うわけか囮用に渡した肉が頭の上に乗っかっている。

「ハ、ハヤトさぁぁん!」

ミカは俺を見つけ、さらに泣き喚く。俺はその顔をしっかりと見て記憶した。

(思い返せば、こいつがいなければ俺はのたれ死んでしまっていたかもしれない、そう思うと感謝の気持ちもある)

そして俺は両手を合わせ、合唱した。さようならミカ。君のことはしばらく忘れない。お経を唱えようとした時、俺の前を風が通り抜けた。魔法?いや違う。

「レ、レイアさん!」

今にも掴まれようとしていたミカの前には、盾でサイクロプスのパンチを防ぐレイアがいた。

この世界にきて俺が殺意を覚えたのは彼女が2人目だった。


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