4話「仲間」
当然の如く俺は人を殺したことはない、直接的には。だが、もし自分の手で人を殺せるかと聞かれれば俺は間違いなく「はい」と答えるだろう。
「これでよしですね!」
ミカは描き終えた討伐依頼を貼り付け終わったようだ。そこには「アライグマ討伐!仲間求む!」と書いてある。依頼内容をペンダントの捜索でなく、アライグマ討伐にしたのは俺の案だ。アライグマは最近被害が増えているらしいし、正義感に駆られたやつが依頼を受けてくれるかもしれないことを見越してやったことだった。
(だが、それも関係ない)
もはやこいつのペンダントはどうでもいい、こいつを事故でどうにかすれば、俺は自由の身なのだから。
「なあミカ、ここまでさせといてあれだが、俺たち2人で捜索に行かないか?」
そう、ミカを殺すには仲間などただの邪魔者でしかないのだ。だが、ミカはそれを見越していたかのように返事をする。
「ハヤトさんの気持ちはわかります。でも、やっぱり2人じゃ厳しいです。ハヤトさんも特別強いわけではないようですし...」
確かに俺の運動神経は人並みだ。俺は腰にある剣に手をやる。冒険者登録特典でもらったものだ。ちなみに服ももらったのでスーツは質屋に入れておいた。あくまで倉庫に入れる目的でだ。
「ハヤトさん、そんなに責任を感じなくていいんです!それに、盗賊がペンダントを売るのにはまだ時間があると思います!」
ミカが的外れに俺の気持ちを汲んで言う。
「実は盗品を売る市というのが二週間後にありまして、奴らが売るとしたらそこだと思うんです!」
思わず、盗賊が一丁前に商品を流してるんじゃねえよと悪態をつきかけたが我慢した。なるほどそんなものがあるのか、というか、この世界の警察は何をしているんだ。そんなものを見逃すなんて職務怠慢としか思えない。
そうこう考えているとミカが話し出した。
「じゃあ仲間を探しましょう!やっぱり待ってるだけじゃなくて自分でも頑張らないといけませんからね!」
「そうか、じゃあ俺は外を探してくるよ」
今は時間が必要だ。この世界のことを知るためにも。そしてミカを事故死させる計画を立てるためにも。
「あ、いや、もう目星はつけてるんですよ」
そう言うとミカは一つのテーブルに向かって歩き始めた。
「だから、レイアちゃん力を貸してほしいの!」
茶髪でロングの少女、レイアと呼ばれた彼女は壁に盾を立てかけておりいかにもタンク役といった感じだが、それとは裏腹に格好は中世のお嬢様そのものだった。どうやら先ほどからミカの話を横から聞いていたらしく、座ったままミカの目を見つめている。
「いやですわ」
「お願い!昔のことは私が悪かったから、今回だけ力を貸してほしいの!」
どうやらミカの知り合いらしい。しかもそれなりに訳ありそうな。
「....あれはあなたが謝って済むものではありませんわ。そんなこと分かってるでしょう?だから、この話はもう終わりですわ。」
「それは...」
ミカは言葉に詰まる。レイアもこれ以上話をしたくないとゆうように目を背けた。やはり彼女たちには過去に何かあったようだ。だが、ハヤトにはそれよりも気になることがあった。
(あのレイアとか言うやつ、なんで関西弁なんだ?)




