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10話「終幕はたいてい予想を超える」

「レイアちゃん!」

ミカがサイクロプスのほうへ近づいていく。サイクロプスはミカの魔法により完全に沈黙していた。辺りには肉の焼け焦げた匂いが充満している。そしてミカの火球の衝撃を少なからず受けたであろうレイアは...

「な?私は丈夫って言ったやろ?」

無事だった。服の一部は焦げてしまっている部分もあるが、傷はほとんどない。

「よかった...本当に...」

ミカはレイアにしがみつくと、心底安心したらしくそのままへなへなと座り込む。その姿を見て、レイアは意を決したように話し始める。

「ごめんミカ。私、ずっとミカに謝らんといけんかった。でも、私は逃げとったんや自分の責任から」

レイアは後悔しているような声で言葉を紡いだ。

「それは私だってそう。ずっとレイアちゃんと話したかったんだ。...でも、なかなか勇気が出なくて....

けど、そのきっかけをくれたのは...」

ミカはそこでバッと後ろを振り返る。その顔に涙はもう無く、満面の笑みを浮かべている。

「ハヤトさんのおかげです!」

レイアもミカの言葉を聞いて一緒にハヤトの方を見る。

「ハヤトさんダンジョンに入る前言ってましたよね?レイアちゃんは私と話す機会をなくしているだけだって。ハヤトさんは私とレイアちゃんが話しているの聞いて、それを一瞬で見抜いたんです!」

「そうなんか!?」

レイアは目を見開き、驚いた様子でミカとハヤトを交互に見つめている。

「...それは違う..」

俺は振り絞るように言う。

「何も違いません!そんなに謙遜しなくていいんです!」

(違う...)

「まさかほぼ初対面で私のことをそこまで見抜いとったとは..」

(違う。俺は...)

ハヤトは唇をかむ。ハヤトの脳内には怒りを通り越して一種の自己に対する呆れが充満していた。

(なぜこんなに俺の思い通りに物事が進まないんだ!?)




「あの、いいですか?」

初心者3人組の中で剣を持った少年が俺たちに言う。どうやら彼らは今のミカ達の会話にすっかり感動したらしい。目じりに涙をためている。

「祝勝会を開くというのはどうでしょうか?もっと落ち着いて話したいですし」

どうやら3人はレイアとミカがもっと話せるように気を使ったらしい。

「それはいいな!」

レイアとミカは乗り気のようだ。

「ハヤトさんもいきますよね?」

ハヤトは自己嫌悪に陥っており、うなだれている。だがミカは、その様子を見てハヤトがうなずいているのだと判断した。

「さあ出よう」

レイアの掛け声で皆ダンジョンの出口へ歩いていく。やがて日の光が見えてきた。約2時間程度の出来事だったが、ミカには太陽の光が新鮮で、久しぶりに思えた。その思いはレイアや3人組にとっても同じようで、皆一様に太陽を見上げている。だが、神崎ハヤトには太陽が自らのことをあざ笑っているとしか思えなかった。


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