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新たなる旅立ち

会談は無事に終了した。人間側と鬼側の誤解が解け完全に分かり合えた両陣営は村長と残虐鬼との固い握手で幕を閉じた。


その後も両者は末永く共存共栄の道を進んだという。

 

だが、残された俺は針のむしろだった。会談後は人間側にも鬼側にも誰にも話し掛けられる事は無く


村人と鬼たちによる冷たい視線を浴びながら〈恥知らずが〉〈早く出ていけ〉という陰口が常に聞こえてくる始末だ。


その空気に耐えられなくなった俺は一旦屋敷を飛び出し脱兎のごとく逃げ出した。


もはや誰からも信用されず軽蔑の言葉が耳に聞こえて来る。


俺が何をした?俺は精一杯頑張った、そう頑張ったのだ……


これで幸恵さんとの縁談は確実に破談だろう、妲己ちゃんとは……もう考えるのは止そう。


ひとしきり落ち込んだ後、夕方になって腹がすいたので仕方がなく村長さんの屋敷に戻ってみた、すると


玄関の外に俺の服と長ネギが一本だけ置いてあったのである。


それは〈それを持って早く出ていけ〉というメッセージなのだろう。その時、俺の目から大粒の涙が零れ落ちた。


居場所のなくなった俺たちは早々に村を出ることにした。


まあやったことを考えればこの仕打ちも仕方がないだろう、俺のせいでは無いのだがこればっかりは仕方がない。


むしろさばさばした気持ちで旅立とうとした時である。


「岩谷様」

 

呼び止められて振り向くとそこには幸恵さんが立っていた。


「幸恵さん、見送りに来てくれたのですか?」


彼女の姿を見て俺は嬉しくて涙が溢れて来る。


「いえ、そういう訳ではないのですが、岩谷さんたちは私たちの為に色々してくださって、そのこと自体は本当に感謝しています。


それなのに父は……この仕打ちはあまりに酷すぎると思います、ですからせめてこれを……」

 

幸恵さんが渡してくれたのは四人分のおにぎりだった


まだ温かいところを見ると作ったばかりなのだろう、その優しさに涙がこぼれ落ちた。


「ありがとうございます、本当に……」


 俺は心から頭を下げる、すると幸恵さんが恥ずかしそうにモジモジしながら話し掛けてきたのだ。


「あ、あの……岩谷様にはずっと言えなかった事なのですが……」

 

何、この流れ⁉もしかして、もしかするの?


落ち込むだけ落ち込んだ気持ちが急転直下の爆上がり、俺の心はストップ高の最高値を更新した。


「何ですか?言ってください」


「私、その……好きな人が……」


「はい、好きな人が……いるんですね?そしてそれは……」


彼女が俺の名を呼んでくると思った瞬間、目の前に見たことのある男が現れた。


「あの時はどうも」


浅黒く焼けた肌に引き締まった筋肉、屈強そうな体に高身長、全体的にシュッとした感じの好青年、佐吉だ。


「私、佐吉が好きなの。お父様も渋々だけれど交際を認めてくれたわ、これも岩谷様のおかげです、ありがとうございました」


「へ?」


何が起こっているのか全く理解できず、それ以上の言葉は出なかった


話を聞いてみると幸恵さんは佐吉との交際を父親から反対されていて


その当てつけとして俺を婿に迎えようとしていたらしい。


だが娘に小便をかける裏切り者よりはマシ、という事で交際を認めてもらえたらしい。


結果的には俺のおかげと言えなくもない。全然うれしくないけれど。


幸恵さんと佐吉は何度も頭を下げながら去って行った。だが残された俺は脳が完全に機能を停止していて何も考えられなくなっていた。


傷心のあまり茫然としている俺の後ろから笑いをこらえる三人の声が聞こえてくる。


その瞬間、怒りで頭が変になりそうだったがその時たまたま通りかかった子供達がこちらに気が付き、突然俺に石を投げてきたのだ。


「出ていけ、裏切り者のションベンたれ‼」


「うわ~あいつに近づくとションベンかけられるぞ~」

 

心無い言葉と石を投げつけてくる子供達、いつの時代も子供とは残酷な生き物である。

 


こうして俺たちは追われるように村を出た、もちろん見送りなど一人もいない。


門の外に出ると祭りが始まっていて、笛の音や太鼓の音、そして人間と鬼たちが仲良く楽しそうにはしゃいでいる声が聞こえてきた。


それを聞いて少しだけ救われた気持ちになったのは自分への慰めだろうか?


「今度はどこに行くの、モモ?」


「仕方がないから付き合ってあげるわ、トウスケ」


「私も行く当てがあるわけではないですから、お供させてもらえませんか、岩谷さん」

 

振り向くと三人が穏やかな顔でこちらを見ていた。


辺りはすでにうす暗く遠くからは笛や太鼓の音色と共に人々の楽し気な声が聞こえて来る。


そんな雰囲気も相まってコイツらの笑顔が妙に可愛く眩しく見えた。


そう、その時にはすでに怒りは収まっていて不思議とこいつらの事が嫌いではなくなっていたのである。


先行きは不安だらけだがこいつらと一緒なら、まあ退屈はしないだろう。


「仕方がないな、じゃあ今度は竜でも倒しに行くか」


俺がそう言うと三人は嬉しそうにうなずいた。

 

行くあてなどない、どいつもこいつもポンコツ揃いで未来は不安しかない状態、でもまあ何とかなるだろう。


なんやかんやで俺たちのあてのない冒険はまだ続いていくのだろう。


いうなればおれたちの冒険はこれからだ‼という感じだ。そして俺は心に誓う。今度こそ、かわいい彼女を作るぞ‼と。



この作品は彼女が欲しくて欲しくて仕方がないという主人公が仲間と共にドタバタ劇を繰り広げていくというギャグ作品を書くきたくて執筆したものです。主人公も本当はもう少しマシなキャラにするつもりだったのですがストーリーの展開上、かなり悲惨な目に合ってしまうのでゲスな性格じゃないとギャグにならないという観点からこの性格になってしまいました。ですが個人的にはこの主人公の岩谷桃助という人物は結構気に入っています。たまに衝動的にギャグ作品を書きたくなることがあるのでこの続編を書くこともあるかもしれません。この四人が亀を助けて竜宮城に行く話とか、猿カニ合戦で女性陣がサル側に付いて戦う話とか、トウスケがかぐや姫に求婚する話とか色々と構想はあるので執筆の際には主人公と共に三人娘も生暖かく見守ってください。

次作はやや重めのテーマと少し大人向けの内容の作品ですがよろしかったらまたお付き合い句ださい、では。

頑張って毎日投稿する予定です。少しでも〈面白い〉〈続きが読みたい〉と思ってくれたならブックマーク登録と本編の下の方にある☆☆☆☆☆から評価を入れていただけると嬉しいです、ものすごく励みになります、よろしくお願いします。

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