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誤解から来る冤罪事件

村長さんの持ってきた珍味はさらに酒を進ませた。


しかし飲み続ければ自然と尿意を催すのが人間の体である。例に漏れず俺も小便がしたくなったので聞いてみた。


「すみません、トイレはどこですか?」

 

自然に聞いたつもりだった、村長さんは不思議そうな顔でこちらを見てきた。


「といれ?といれとは何ですかな?」

 

そうか、この時代だとトイレでは通じないのか⁉でもトイレって日本語で何と言ったっけ?ど忘れしてしまった。


しかし女性を含むみんなが食事をしている中で、トイレの事を細かく説明するのもマナー的に失礼だよな……


仕方がない、自分で探すか。それに最悪の場合、外に出て立ちションすればいいだけの話だ。


この時代ならば立ちションしても条例に引っかかることはあるまい。


「すいません、ちょっと……」

 

失礼にならないように席を立つと慌ててトイレに向かってダッシュした。


しかし大きな屋敷なのが災いしてか中々見つからない。


「見つからないな。もしかしてこの時代だとトイレは外にあるのか?」

 

無数にある部屋の襖を全部開けていくのも失礼だろうし。


仕方がないので急いで屋敷の外に出たがやはりトイレは見つからなかった。その間も俺の膀胱は悲鳴をあげている。


「ええい、やむを得ない。物陰に隠れて立ちションするか」

 

さすがに誰かに見られるとバツが悪いので、隠れてできる所はないかと周りを見渡すと屋敷の外に大きな木製の箱のような物が目に入ってきた


それが何かはわからなかったが色々な飾り付けがされているところを見ると祭りで使う物だろう。


大きさ的にもちょうど俺の肩の辺りまで隠れる高さだったので立ちションしながら誰かが来るのを見張る事ができる


俺は急いでその箱の反対側に周ると屋敷から誰か出てこないか監視しつつ、素早くパンツからナニを出した。


「うう〜漏れる、漏れる〜」

 

今まさに放尿を開始しようとした時である。屋敷から出てきた人を見て、思わず言葉を失ってしまう。


「岩谷様、こんな所におられたのですか」

 

そう、出てきたのは幸恵さんだった。俺の姿を見つけると、こちらに駆け寄って来た。


「ちょ、ちょっと待ってください、幸恵さん、今は……」

 

俺は慌てて引き止めようとするがどう説明していいのかわからない。


そうしているうちに幸恵さんは俺の目に前に来ていた。


「実は岩谷様には折り入ってお話がありまして……」

 

俺も幸恵さんと二人っきりでお話ししたいと思っていましたが今だけはやめてほしかった。


何せ目の前の大きな箱のおかげで向こうからはこちらの顔以外の姿は見えないものの


箱を挟んで1mの距離で向かい合っている俺は今、下半身のナニをさらけ出している状態なのである。


「あの、幸恵さん。その話はまた後で、今はちょっと……」

 

何とかこの場を乗り切ろうと誤魔化すが彼女は思いつめたような表情で食い下がって来る。


「今ではダメでしょうか?父がいると中々込み入った話ができないものですから。私と二人きりで話すのは嫌でしょうか?」


「そんなわけありませんよ、でも、今だけは、ちょっと……」

 

俺の言っている意味がわからないのだろう、彼女はポカンとした表情を浮かべた。


しかし今の俺はそんな彼女にフォローを入れる余裕はない、有り体に言えばそれどころではないからだ。


この危機的状況をどううまく乗り切るか、俺は頭をフル回転して考えるが中々いい考えは思いつかない。


考えれば考えるほど気が焦り、俺の膀胱は〈早くしろ‼〉と猛抗議を続けている。


そんな時、屋敷の中から二人の男が出てきた。人夫風の男たちはゆっくりと俺たちに近づいて来ると


事もあろうに目の前の箱を持ち上げるべく手をかけた。


「じゃあ持ち上げるぞ、いっせいのーで、ホイ‼」

 

空気を読まない人夫風の男二人は、目の前の大きな箱を軽々と持ち上げどこかへ運び去ってしまった。


ここで今一度状況を整理しよう、俺は小用を足すべく男のシンボルともいえるナニをさらけ出していた


そこに幸恵さんが突然現れ、俺に近づいて来る。


大きな箱という遮蔽物があったおかげで隠されていたモノがその遮蔽物が無くなるとどうなるか?


賢明な皆様ならばお判りいただけるだろう。

 

図らずも俺のあられもない姿を目撃してしまった幸恵さんの顔は、見る見るうちに紅潮しワナワナと震えだすと


天にも届くような叫び声を上げた。


「きゃあああああああーーーー‼」

 

そのあまりの大きな声に驚いたのと我慢の限界を迎えていたことも相まって、俺の不肖の息子は俺の命令を待たずに放水を開始したのである。


「どうしたの⁉」


「鬼でも現れたの⁉」


「敵襲ですか、それならば……」

 

幸恵さんの悲鳴を聞きつけ、屋敷からマメ芝とハルカス、つばめが慌てて飛び出してきたが三人ともこちらを見て硬直する。


「違う、違うんだ‼」

 

俺は必死で状況と経緯を説明しようとするがおそらく説得は無理だろう。


なぜならば、三人が見たモノとは……


恥ずかしそうに両手で顔を覆い、その場にしゃがみこんでいる幸恵さんに対して


事もあろうに俺は小便をかけているのだ。


「違うのだ、話を聞け、お前ら……ちくしょう、止まんねえ」

 

沈黙の空間に俺の小便の音だけが鳴り響く。これ以上ないほどの冷たい目で俺を見つめる三人の仲間たち。


「ねえ、モモ……人にはね、やっていい事と悪いことがあるんだよ。それがわからない?」

 

常に明るいマメ芝が聞いたこともないほどの無感情な口調で語りかけてきた。


「違う、誤解だ。聞いてくれマメ芝。そうだハルカスからも何か言ってやってくれ」


「トウスケ……アンタはスケベで女好きで、馬鹿で、間抜けでどうしようもない奴だとは思っていたけれど


ここまでの変態だったとは……もう二度と私に話しかけないで」


「だから違うって言っているだろうが、つばめ、お前はわかってくれるよな?」

 

するとつばめはふっと口元を緩め、やさしい口調で語り始めた。


「岩谷さん、腹を切りなさい。今すぐに、です」

 

完全に誤解されている。確かにこの犯行現場を目撃すればどんな敏腕弁護士でも裸足で逃げ出すだろう。


そこに遅れて村長がやってきた、今の俺にとっては唯一の味方だろう。


「お義父さん、これは不慮の事故なのです、思いもよらない災難なのです、偶発的に起きた不幸な出来事なのです


お義父ならばわかってくれますよね?……って、あれ?」

 

そんな俺の期待とは裏腹に村長さんは額に血管を浮かび上がらせ怒りで体が震えていた。あっ、これはダメなやつだ……


「テメー、人の娘に何してやがる‼それは何のプレイだ⁉」

 

もうすっかり怒り心頭のお義父様、周りを見渡しても俺の味方は誰もいない


四面楚歌とはこの事を言うのでしょうね。それにしても村長さん、トイレはわからないのにプレイという言葉はわかるのですね?


そんな事を思いつつ俺は全員にボコボコにされた。淡い青春の一ページである。


頑張って毎日投稿する予定です。少しでも〈面白い〉〈続きが読みたい〉と思ってくれたならブックマーク登録と本編の下の方にある☆☆☆☆☆から評価を入れていただけると嬉しいです、ものすごく励みになります、よろしくお願いします。

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