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真犯人と隠蔽行為

大事なファーストキスを脂ぎった中年オヤジに奪われる形となった俺はありったけの思いを込めて三人を睨みつけた


無神経でデリカシーゼロのこいつらもさすがに悪いと思ったのか、申し訳なさそうな表情を浮かべている。


深い反省はもちろんだが具体的な謝罪の行為がなければ俺は認めない


これは〈弱みに付け込む〉とかいう程度の低い問題ではない、あくまで誠意の問題だからである。


抗議の意味も込めて俺は奴らを睨み続ける。すると……


「ねえ、今、私たちでモモにしてやれることってない?」

 

おっ、いいぞ、マメ芝、その調子だ。


「そうね……今の私たちにできることと言えば、病人であるトウスケの看病くらいじゃないかしら?」

 

もう少し、もう一歩だけ踏み込もうか、ハルカス。


「看病だけではなく、岩谷さんの病状を少しでもやわらげる事をしてあげませんか?」

 

よしよし、いい感じだぞつばめ。あとは具体的な手段だ、希望としては口づけの上書きか添い寝


雪山の遭難時のように身をすり合わせて、肌と肌でお互いを温めあうのも悪くないな。


頭の中でそんな幸せな妄想を繰り広げていた時、事態は思わぬ方向へと突き進んでいったのである。


「ねえ、これって使えない?」

 

マメ芝が手に持っていたのは長ネギである、さっき村長さんが持ってきた食材の中に入っていたようだ。


「そうね、病気の時にネギが効くというのを聞いたことがあるわ」

 

確かに風邪を引いた時に〈長ネギを首に巻くといい〉という療法を聞いたことがある。


だがそれは医学的根拠があるのかも怪しく、単なる迷信だと思っていたので俺自身試したことはない。


まあ〈病は気から〉という諺もあるし、気休め程度にはなるかもしれないが……


「でも、長ネギなんて病人にどうやって使うのかしら?」


「やっぱり普通に食べるとか?」

 

その時、つばめが恥ずかしそうに手を上げた。


「あ、あの……ちょっといいですか?私、聞いたことがあるのですが、その……熱が出た時にお尻の穴に何かを突っ込むと熱が下がると……」


馬鹿、それは座薬だ‼︎って、おい、まさか、お前ら……


「じゃあこの長ネギをモモのお尻に突っ込むの?」


「何かゾッとしないけれど、この際仕方がないわね」


「はい、我々のせいで岩谷さんがこのようになってしまったのですからその責任を取らなくてはいけないと思います」

 

コイツら、さっき解毒薬の口移しを村長に押し付けたくせに、変なところだけ頑張るんじゃねーよ、おい、止めろ‼︎


「うごうぐぐうがああ」

 

俺は動かない体を必死で動かし喋れない口で懸命に訴えた。頼むからそんな馬鹿な真似を止めてくれと。


そんな俺の決死のアピールが通じたのか、三人は不思議そうに俺の顔を覗き込む。


「トウスケが何か言いたそうだけれど、マメ芝わかる?」


「う〜ん、何を言いたいのかまではわからないよ。でも何か必死でお願いしているみたい」


「おそらく〈早くそれをやってくれ〉と訴えかけているのではないでしょうか?」

 

馬鹿野郎、そんな訳ないだろうが‼︎おい、止めろ‼︎

 

体が動かない俺はこの悪魔のような女どもになすがままにされる。


抵抗できないままうつ伏せにされ、ズボンとパンツを脱がされた。


うつ伏せになっているので局部は隠されているが下半身丸出しのまま尻の穴に長ネギを突っ込まれようとしている俺。


かつてこれほど非人道的な扱いを受けた主人公がいただろうか?


「じゃあ行きますよ」

 

つばめが気合の入った声で長ネギを高々と振り上げた、マメ芝とハルカスは俺が動かないように押さえつけている。


俺としては心境的にギロチンを待っている罪人のようだ。


誰かコイツらを止めてくれ、止めろ、ら、らめ〜〜‼︎

 

つばめが勢いよく長ネギを振り下ろし、俺の尻に異物が挿入された時、俺の目から再び一筋の涙がこぼれ落ちた。


「これで、本当に大丈夫なのかしら?」


「これできっとモモは良くなるよ」


「そうですね、我々も全力で頑張りましたし」

 

俺の変わり果てた姿を見降ろしながら、愚かにも〈自分たちは頑張った〉感を出してくる浅はかな乙女達。


その時、部屋の襖が勢いよく開き、慌てた様子の幸恵さんが入ってきた。


「大丈夫ですか⁉誤って毒を飲んでしまったと聞きましたが、岩谷様⁉︎お体の方は……」

 

幸恵さんは部屋に入ってきた瞬間、顔から血の気が引き、固まってしまう。


それも無理からぬことだろう。目の前にはうつ伏せのまま下半身を丸出しにしてケツに長ネギが刺さった男が横たわっているのだから……


しばらくの間、言葉を失い呆然としていた幸恵さんだったが、ようやく我にかえると大きな声で叫んだ。


「何をやっているのですか、あなた達は‼︎岩谷様は重病人ですよ、それをこんな……悪ふざけも大概にしてください‼︎」


彼女はすぐに駆け寄って来ると、俺のケツに刺さっている長ネギを素早く引き抜きズボンとパンツを上げてくれると


手際よく薬を飲ませてくれた。ちなみにその際の投薬は口移しではない。


「これでしばらくすれば熱も下がると思いますし小一時間もすれば喋れるようになるでしょう。


で?あなた方は岩谷様になぜこのような酷い仕打ちをしたのか、お聞かせください」

 

怒りに満ちた目で三人の凶悪犯共を睨みつける。いいぞ。もっと言ってください。人格が歪むほどの説教をコイツらにしてやってくださいな。

 

さすがに自分達のしたことが大きな間違いだったと気づいた粗忽者どもはバツの悪そうな顔を浮かべ幸恵さんの質問に答えられずにいた。

 

や〜い、や〜い、ざまあみろ、自分達の愚かさを噛み締めて海より深く反省するがいい。


だが次の瞬間、マメ芝がとんでもない事を口にする。


「あの、その、え〜っと、お尻にネギを突っ込んだのは、モモに言われてやった事で……」

 

は?何言ってやがる、コイツ。


「そ、そうね……トウスケがどうしてもやれと言うから、仕方がなく……


私たちも、本当はやりたくはなかったのだけれど……そうよね、つばめ?」


「えっ?あ、その、え~っと……そうだった気がします……そうです、岩谷さんに言われてやりました」

 

何だ、この突然始まった欠席裁判は?ふざけるなよ、どこの世界に自分のケツに長ネギを突っ込んでくれと頼む変態がいるのだ‼︎


コイツら自分達を庇うために咄嗟に嘘をつきやがった。俺の自慢の口が封じられている事をいい事に、何という奴らだ。


その罪は万死に値する。許さん、絶対に許さんぞ‼︎


「嘘ですよね?」

 

卑劣な不届き者による嘘に塗り固められた証言を瞬時に見抜いた幸恵さんはズバリと言い放つ。


「岩谷様は毒で体も動かせず口も聞けない状態でした。それでどうやってこのような指示を出せるのですか?」

 

名探偵が犯人を追い詰めるが如く、大嘘だらけの証言の矛盾点を鋭く突きつける。


結果的にこの馬鹿どもは自分で自分の首を絞める形となり、益々窮地に追い込まれる事となる。


これ以上痛快な解決劇はあっただろうか?俺は嬉しくて彼女が女神に見えた。

 

一方で決定的な矛盾点を突きつけられた浅はかな犯行グループは激しく動揺する。


マメ芝は視線を逸らしながらソワソワしていて明らかにキョドっている。


ハルカスは目が泳ぎ、落ち着きなく貧乏ゆすりを繰り返していた。


つばめに至っては全身に大量の汗をかき、顔面蒼白のまま絶望的な表情を浮かべていたのである。


そんな愚か者どもを冷ややかな目で見つめる幸恵さん。そして大きくため息をつくと静かに口を開いた。


「ハア、まあいいでしょう。あと小一時間もすれば岩谷様は喋れるようになります。今回の経緯は岩谷様より直接伺いますので」


冷静にそう言い放ち、スッと立ち上がる。


「私は岩谷様の体を拭く布巾と水を持ってきますので、安静にしておいてください。くれぐれも余計なことはしないでください、いいですね?」

 

忠告にも似た言葉を残し彼女は部屋を出ていった。部屋に残された逮捕寸前待ったなしの被疑者たちは慌てて自分たちの保身の為の話し合いを始めた。


「どうしよう、これマズくない?」


「大体、マメ芝が変な嘘をつくからじゃない‼︎」


「ハルカスちゃんだって乗っかったじゃん、私だけのせいにしないでよ‼︎」


「でも、このままですと私たちは重病人の尻に意味もなく長ネギを突っ込んだ愉快犯という事になってしまいます……」


「そんな変な噂が立ったらお嫁に行けなくなっちゃうよ」


「マズいわね、ただでさえ難航している婿探しがさらに困難になってしまうわ」

 

イヒヒヒヒ、ざまあ。俺にあんな屈辱的な仕打ちをした報いだ。情状酌量の余地は一ミクロンも無い。


俺の自慢の口が復活した暁にはお前らの悪行全て、あることないこと世間に言いふらしてやる。


そしてその前に、お前らは幸恵さんにちゃんと怒られろ。

 

焦る三人、それを愉快な気持ちで見つめる俺。運命の判決の時は刻一刻と迫っていた。


その時、ハルカスが何かを思いついたように顔を上げる。


「ねえ、今あった事をトウスケが忘れてしまえばいいのじゃない?」


マメ芝とつばめは〈あっ〉と叫んで、互いの顔を見つめあう。


「そうか、つばめちゃんの奥義で‼︎」


「盲点でした、まさかこんなところで我が流派の奥義が役に立つとは」

 

そして次の瞬間、三人の悪魔は血の通っていない冷酷な目で俺を見下ろした。

 

コイツら、俺の記憶を消して自分達の犯行を隠蔽するつもりだ。


何という卑劣かつ恥知らずな奴らだ、お前らには人の心とか無いのか?


「ごめんね、モモ」


「わ、悪いとは思っているわ。でも、これは仕方のない事なの」


「痛いのは一瞬です、それで全てがうまくいくのです。すみません岩谷さん」

 

つばめはスラリと腰の剣を引き抜き、高々と振り上げた。

 

ちくしょう、ふざけるな、お前ら許さねえ‼︎この恨みは絶対に忘れない、絶対に許さないからな、覚えてやがれ‼︎


「鳥飼流暗殺剣 奥義 神羅忘烈剣‼︎」

 

その言葉と共に俺の後頭部に激しい衝撃が伝わり、そして俺は意識を失った。


頑張って毎日投稿する予定です。少しでも〈面白い〉〈続きが読みたい〉と思ってくれたならブックマーク登録と本編の下の方にある☆☆☆☆☆から評価を入れていただけると嬉しいです、ものすごく励みになります、よろしくお願いします。

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