The Second day.
The Second day.
「おはよー!」
千夏たちの仲良しグループは、朝からテンションが異常に高かった。バケツに水を組んだり、黒板消しに白いチョークを塗りたくったり。亜里たちが外を見て騒ぎだした頃、千夏は冷水が波打つバケツを手に取った。
―ガララッ。
教室の扉が開いた途端、千夏は冷水をぶちまけた。
―バシャッ。
春斗は突然ぶちまけられた冷水に驚いて怒鳴った。
「おぃっ!一体何だってんだッ!」
水の滴る髪を乱暴に振りながら怒鳴る春斗を見て、四人は唖然としていた。
「が、我柱さん・・・。ち、違うのよ。貴女じゃなくて・・・。」
美樹は、そこまで言ってた口をつぐんだ。春斗と冬騎の仲が良いのは、このクラスの者なら皆知っていることだったのを思い出したのだ。
「俺じゃなくて、誰だッ!」
美樹は、その迫力にたじろいだ。学年の並みの男子よりも彼女が強いということを忘れていた。秋希も亜里も、口を開こうとはしない。千夏が口を開こうとしたそのとき、春斗の後ろから厳しさを含んだ声が響いた。
「あたいへの嫌がらせのつもりか」
冬騎が顔を強張らせて言った。
「あたいとこいつが義兄弟の契りを交わしたことを知らないわけではないだろう?こいつに手を上げるなら、女とはいえ容赦はしない」
冬騎も春斗に負けず劣らずの実力の持ち主だ。千夏はどうして良いのか判らずに立ち尽くしている亜里たちを背に庇うようにして言った。
「誤解をしないで。校内内1、2の強さを誇るあなたたちを相手に張り合うつもりはないわ。さっきジュースを溢してしまったのよ。掃除しようと思って水を汲んできたときに、足を滑らしてしまったの」
千夏は頭を下げて謝った。
「ごめんなさい」
「亜里たちも、渋々口を開いた。
「・・・悪かったわ」
「ゴメンね」
「ごめんなさい」
次々と降りかかる謝罪の言葉を微動だにせず聞いていた春斗は、何も言わずに千夏たちに背を向けた。
「春斗」
「ん?」
冬騎は決まりが悪そうに謝った。
「済まん。あたいの所為で・・・」
「謝るなよ。俺たちは一蓮托生だろ?」
着替えなきゃな、と笑いあう二人は、肩を組みながら廊下を歩いて更衣室へ向かった。
「もぅっ!」
千夏は怒っていた。亜里たちが『刻日』が来た、と言ったから水をぶちまけたのに、その水をかぶったのは冬騎ではなく春斗だった。
「ごめんね、千夏・・・」
「あたしたちが悪かったからさ、もう機嫌直してよ・・・」
千夏は顔を強張らせて言った。
「いい?明日までに、三回よ」
「え?」
「分からないの?償いとして、明日までに三回嫌がらせをして。虐め抜いて。もう、死にたくなるくらいに、じわじわと。そうしたら、もう私は怒らないわ」
困惑する三人を見て、千夏はふふ、と微笑んだ。さっきはしくじったけど、みんな私の思い通りに動く。そう思うと、自然と笑みが広がった。
冬騎は、その日一日中ずっと春斗といた。冬騎といれば、滅多なことはしてこないだろう、と思ったからだ。しかし、それは思い込みにしか過ぎなかった。




