夢への滑走!素敵な仲間達との関係が深まり計画はより素晴らしい物になるの!【後編】
次回の投稿は明日の20時です。
これからは組織も会社の形も変えて行かなくちゃいけないのよ。
そんな気持ちが大きくなっていた時の事よ。
サンプルの生産が遅くなるって連絡が来たのよ。
そんな事になったら私の計画が変わっちゃう!
だ、ダメよそんな事許しちゃいけないの。
だって大学卒業と同時に銀座でスタジオ王善が出来上がるのよ!
そこに並べる商品が少なくなるって事でしょ?
そんな事はダメな事なのよ。
「銀斗社長!どういう事なんですか?!
この社運を賭けた計画に遅れ何て許されない事位解るでしょ?!」
「済まないデザインリーダー。
これでも精一杯やっているんだよ。
染め物部門がね。今黒染めをしているんだけれど、
その色合いの調整で手間取って…」
「ちがいますぅ!
私は黒なんて頼んてません!
私は金色の生地が大量に必要になるって言ったでしょ?」
「それは解っているよ。だけど今色の調整で…」
「そんなのは後回しよ!」
私の計画に遅れは許されないのよ。
それは何度だって言って来たのにどうして遅れるのよっ!
…サボって遊んでいる奴が多いって事?
きっとそうよっ!
私が必死にお父様を説得して染め物のスケジュールを、
変更してくれるように頼んでいるのに、
私の必死さが伝わっていないのか下っ端の女がが話に割り込んできたのよ。
「あ、あの!デザインリーダー」
「何よ?」
「その今行っている黒染めは「王善の黒」を求めている、
特別な奥様方からのご注文なのです。
ゆっくりと時間をかけて染め上げえないと色合いが均一にならなくて」
そうやって言い訳ばっか。
この女は染め物関連の統括責任者の娘らしくって。
後を継がせる為にコネで入社した大学にもいかなかった頭の足りない女だった。
だから私の素晴らしい考え何て解かる訳もないって解っているんだけれど、
こうも邪魔をされるとムカついてくるわ。
「…「王善の黒」の事は私も知ってるわ。
でもね?その「王善の黒」に拘り過ぎているって思わない?
拘る事は重要だけれど…
その結果未来が無くなってしまってその「染物」の仕事自体が無くなるのよ。
時代は変っているのよ。
その事を自覚なさい」
「…ではどうすればいいのですか?
もうスケジュール的にはギリギリまで時間を詰めています。
時間範囲内で限界ギリギリで休日返上までして作業を進めています。
みんなで必死に回していますからこれ以上は出来ません」
はぁ?ギリギリで回している?
何を言っているのかしらねこの子は?
本当にギリギリで回しているのならアンタもここにいられる訳ないじゃない。
言い訳をしに来る余裕があるのなら、まだギリギリじゃない。
甘えてんのよこの女は。
自分がやっている事の矛盾に気付かないなんて愚かを通り越してバカね。
でもその事を教えてあげるほど佐奈は優しくないのよ。
はぁとため息をついて。
現実を教えてあげるのよ。
「その限界ギリギリって言う根拠は何?」
「それは…染まり具合を確認して均等になっているかを」
「貴女職人でしょ?職人なら天性のカンと経験でどうにかなさいよ。
高い給与払っているんだから。
能力にあった金の分だけ働けてない証拠でしょ?
ペナルティーとして減給するわよ?」
「…しょ、正気ですか?」
「嘘を言ってどうするのよ。
それだけ早く染め物を造らないと王善が大変な事になるのよ?」
「…そうですか」
「解ったのなら直ぐに仕事に戻りなさい」
「…はい」
それから私はその生産性の上がらない染め物部門の事を、
青戸君に相談したのよ。
きっと彼なら良いアイディアを出してくれると思ったから。
その日私は青戸君の住んでいるマンションに行って一夜かけて、
真剣に話す事にしたの。
何処か夜のお店で放す事も考えたのだけれど、
きっと情熱的に盛り上がった会話になるって思ったから。
「うん…昔ながらのやり方に拘り過ぎているんだよ。
だから設備の更新も考えた方が良いと思うよ」
「やっぱり?でも職人達が頑固でいまのやり方を変えたがらないのよ。
何でも色合いにムラが出来るって言ってね。
今の技術ならそんな事無いわよね?」
「昔と違って優秀だからね。首になるのが怖いだけだろうし。
設備投資が難しいのならまずはアウトソーシングから始めたら?
それで「出来上がりだけ確認すれば」それだけで手間もコストも下げられるんだ。
佐奈の話を聞いていると、全て自前で用意しているように見えてね?
とてもコストがかかっている割に儲かってないように見えるよ」
「やっぱり?
外注もつかうべきよね!直談判してみる!
青戸君に聞いてみて良かったぁ!」
「そんな事…ないさ」
こうしてベッドの中で二人で見つめ合う様な距離だから…
冴えた頭で新しい考えも思いつくのよね!
次の日にはお父様に直談判して…
一部の染め物を知り合いの業者に任せる事になったのよ。
それであいた時間に私が納得いくまで、
金色に光り輝く染め物を作らせ続けたのよ。
「デザインリーダー…如何でしょうか」
「…これでいいと思っているの?ホラここに色ムラが出来ているでしょ?
やり直しなさい」
「…はい」
予想以上に均等な色を出すのに時間がかかったけれど、
私の新しいブランドの為の生地なんだから妥協はできないのよ。
そして材料が作ったら新設したオートクチュール部門での、
試作品の作成が始まったのよ。
けれどね?
「あ、あのデザインリーダー。
この作り方ではその着心地が悪くなるし、
着崩れしやすくなるかと」
「それをどうにかするのがオートクチュール部門の仕事でしょ?
何とかなさい!」
「解りました…けれどその、これは…」
「いいのよ形にならないと進まないでしょ?」
「はい」
そのオートクチュール部門のリーダは何か言いたげだったみたいだけれど、
造りづづけて納得してデザインの良さに惚れたのは、
出来上がったお着物を見て見つめた後に、
何度も惚れたみたいにため息をくいて食い入るように見ていたのよ。
やっぱり私の感性にオートクチュールのリーダーも惚れたのね。
そうしたら今度はディスプレイ用のトルソーが必要で…
それは勿論白勢君にお願いする事になるのよ。
彼との語らいも当然長引く事になって…
「なぁ佐奈お前の体を再現するような形でデザインをしてもいいか?」
「勿論ね。私の事を隅々まで見てくれていいのよ」
「ああ…やっぱり佐奈は美の結晶だ」
「そんな、やだ褒めても何も出ないわよ」
「出す必要はないな。俺が入れるだけさ」
「情熱的なお誘いね。
でも…その情熱はトルソーになるのよね?」
「勿論だ宣言してやるよ!」
「ふふっ情熱的な夜になりそうね」
「当り前だ眠らずに語り合うんだからな!」
そうして私達のトルソーについての会議は夜遅くまで進んだのよ。
それから数週間の時間が流れて…
ブランド王善新シリーズのひな型が出来たのよ!
それはお着物の新しい形。
収納スペースが少ないお着物に収納スペースを与える事。
それがブランド王善の新しいお着物の形。
そしてお着物には背中帯枕てっ布の塊を包み込むよに身に着けるのよ。
そこで私は思いついたの。
その帯枕を主役に帯を造ってしまえばいいんだって。
そして優美な形にする為に背中の結び目自体を鞄にすれば、
デザイン的にも破断はしないのよ!
私の考えは名案っだった。
そしてこのブランド王善の新シリーズが出来上がったのよね。
次はこの出来上がったお着物を着て貰って実用性のテストをしなくっちゃね!
次回の投稿は明日の20時です。