2の9 夜の日課と結ばれる二人
あれかまた数日が過ぎた。その日の夜も、シュウジは宿屋を抜け出して福音の転移札を使う。
「使用、マーク地点1」
唱えるとアリの巣のすぐ近くにテレポートできた。巣の中には入らずに、巣の周辺に沸いているアリを倒し始める。一人で巣に入るのはアリが沸きすぎるため危険だった。しかし巣の周辺なら敵は少ない。夜の狩りはシュウジの日課だった。少しでも経験値を稼いで強くなりたい。そしてヘイストポーションや福音の転移札を手に入れて、売ってお金を稼ぎたかった。ちなみにアリのレアドロップはエクスポーションである。単価大銅貨五枚で売ることができる。なので結構美味しい。
ふと、向こうで雷がバチバチと降っていた。他にもプレイヤーがいたようだ。シュウジは眉をひそめて近づいていく。なんとミリアだった。
「ミリアか、夜だというのに精が出るな」
「わっ、シュウジさんですか?」
「おう、愛しのシュウジだぞ」
「愛しのシュウジさんが来てくれたですぅ」
「愛しのは否定して欲しかったな」
「否定するも何も、愛しのシュウジさんですから」
二人はパーティを組んだ。一緒に歩きながら、アリたちをぼちぼち狩りして行く。
「シュウジさんはいつ、私の想いに応えてくれるですか?」
「応えるも何も、告白された覚えが無いな」
シュウジが『ダークネスブロー』でアリを薙ぐ。モンスターは一撃で力が尽きた。周囲から集まってくる敵にミリアが『エレキトリックショックサイン』と『ブラッドペインマーク』を使う。数回のドットダメージでモンスターを地面に沈めている。
「毎日告白しているです」
「それは分からなかった。すまんな」
「今夜、答えを教えてください」
「お前、団長の権限を使って、団員に交際を迫るのはしないんじゃなかったのか?」
「団長の権限は使ってないですぅ」
「そうか。それなら良かった」
アリが集まってきていた。シュウジは25レベルで新しく覚えた『ヘイトハウル』を使う。シュウジの半径五メートルにいるモンスターたちが一斉に彼を向いた。ヘイトを集める範囲スキルである。シュウジは焦ることなく一匹ずつ倒していく。ミリアが援護してくれた。
「シュウジさん、……きです」
「何だ? 聞こえなかったぞ?」
「好きです!」
「俺も好きだ」
シュウジは半笑いで振り返った。ミリアはびっくりしたように瞳を輝かせている。夜だからよく見えないが、頬は赤かっただろう。
「本当ですか? シュウジさん」
「ああ、本当だけど?」
「じゃ、じゃあ、つき合ってくださいです」
「ああ、いいぞ」
「や、やったです」ミリアが両手のひらを握りしめる。
「とりあえず、ゆっくり行こうな」
「はいです!」
それからしばらく、お互いが無言でモンスターを狩った。やがてシュウジが言った。
「明日のギルドバトル、対戦相手が出ていたな」
「はい。『サバイバル』ですね」
「やっと勝てそうなギルドに当たってくれたものだ」
「本当ですね。私もやっと、戦いのコツが分かってきたですよ」
「じゃあミリアの活躍に期待しようかな」
「シュウジさんが皆殺しにすれば良いですよ」
「皆殺しはちょっと」
「シュウジさん、私は疑問に思うですよ」
「何がだ?」
「私たちはこうして頑張って強くなろうとしていますが、一体どこへ向かっているのでしょうか?」
「さあな。それは俺にも分からん」
「すいませんです。分からない質問をしちゃって」
「謝らなくてもいいぞ、別に」
シュウジがアリをばっさばっさと斬り伏せて行く。ミリアが追いかけるようにスキルをアリに撃った。それから少しして、ミリアが言った。
「今日はシュウジさんと同じ部屋に泊まるです」
「ははっ、マジか」
「笑わないでくださいですよ」
「おまぐわいをするのか?」
「愛し合うと言って欲しいですっ」
「悪いけど、前世でも今世でも、俺は童貞だぞ」
「私もです」
「そうなのか?」
「はいです。お恥ずかしい」
「じゃあ、お互い初体験だな」
「どんな感じか興味があるです」
「それは同意だ」
「シュウジさん」
「どうした?」
「まだ狩りをするですか?」
「ああ。もう一時間ぐらい」
「分かりましたです。では一時間後に、帰りましょう」
「そんなにおまぐわいがしたいのか?」
「愛し合うと言って欲しいですっ」
「じゃあ、いま行くか?」
「一時間後では無いのですか?」
「別にいいよ。今でも」
「じゃあシュウジさん、ちょっと目をつむってもらっても良いですか?」
ちょうど周辺に敵はいなかった。
「ああ、いいけど」
「では!」
ミリアがシュウジの正面に回り込む。そして背伸びをした。唇と唇が重なる。
チュッ。
「お、おいミリア」シュウジは目を開いた。
「うふふふふ、キスしちゃったです」
「な、何か嬉しいけど、やられた気分だ」
「ボスを討伐した時よりも嬉しいです」
「お前なあ」
「何ですか?」
「胸に触るぞ」
「どうぞ?」
「くっ」
「どうしました? えへへっ♪」
「とりあえず帰還だ」
「はいっ」
そしてシュウジとミリアは帰還の札を使い、村へと戻ったのだった。その夜、宿屋の一室で二人は愛し合った。お互いが初めてということもあって、手探りのぎこちない夜となった。それでも二人の胸は熱く、お互いがお互いを大切な人であることを認識し合ったのであった。
◇◇◇
名前 アヤノ
レベル 25 詳細
HP 15900000 {2500(基礎地)24000(ステータスポイント240消費)}×20(長命の秘訣)×10(指輪カード)×1,5(ペットアビリティ)
攻撃力 565 25(基礎地)+540(武器)
防御力 1238 {75(基礎地)+750(防具)}×1.5(アイアンセットボーナス)
素早さ 300 75(基礎地)+225(アイアンセット)
魔攻 75
魔防 1238 {75(基礎地)+750(防具)}×1,5(アイアンセットボーナス)
運 0
アクティブスキル 『点火』『プリンアラモード』『イチゴ大福』『オートポーション』
パッシブスキル 長命の秘訣(HP増加率2倍)
セットスキル スロット1『長命の秘訣LV4(HP増加率20倍』
スロット2『プリンアラモードLV2』
スロット3『イチゴ大福』
スロット4『チョコレートパフェ』
スロット5『バナナピール』
スロット6『点火』
ユニークスキル 『身代わり』
武器 『果物ナイフ(攻撃力+540)』
防具 『巨人の帽子』『巨人のグローブ』『巨人の鎧『巨人のベルト』『巨人の靴』(合計:防御力+750 魔防+750)(セットボーナス:HP増加率2倍)
装飾品 『アイアンネックレス』『アイアンリング』『アイアンイヤリング』『アイアンブレスレット』『アイアンアンクレット』(合計:素早さ+225)(セットボーナス:防御力、魔防1.5倍)
スキン 『あるりなみーみ』のユニフォーム
ペット 寂しがりなウサピョン(HP増加率1,5倍。光属性ダメージ2倍)
注 アヤノはレベルアップごとにHPが100上昇する。攻撃力と運以外のステータスは3上昇し、攻撃力は1上がる。運は全く上がらない。
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