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2の5 ウキウキコロンバーストモード



 【アンクルミーデ村】



 その日の夜。宿屋の一室で、シュウジはアイテム欄を整理していた。今日は長時間狩りをしたおかげでレアドロップがたくさん入手されてある。それはエクスポーションであったり、ヒットボウであったり、光のルーンであったりした。エクスポーションは一秒間に一回、最大HPの3%回復し、8秒間持続する効果だ。ヒットボウは攻撃力が+8であった。光のルーンは武器に使用すると属性ダメージの強化、防具に使用すると属性防御の強化だった。他にもブロードソードなど、道具屋で売るしか無いゴミっぽいアイテムがいくつか入手されていた。


 宿屋で一泊し、また朝が来た。


 シュウジたちは宿屋の食堂で朝食を終えると服屋へ向かった。もちろんギルドのユニフォームを作成するためである。村道を歩き、店を見つけると玄関から入った。カウンターで店員と話し、作成できる服のカタログを見せてもらう。ミリアとアヤノはテンション高めであり、どれにしようか選んでいた。


 ふとハルオが声をかけてきた。


「シュウジくーん、ちょっとステータス見せてくれない?」


「いいけど?」


「ありがとー。後学のために見ておきたくってさ」


「そうか。じゃあハルオのも見せてくれ」


「いいよー! 俺のステータスなんて、参考になるか分からないけど」


 二人でステータス画面を出し合う。お互いの能力値やスキルを見比べた。


「シュウジくん、攻撃力低すぎない?」


 シュウジの攻撃力は60である。比べてハルオの攻撃力は、パッシブスキル(弓の極意:攻撃力5倍)のおかげで1000を超えていた。


「低いけど、今は仕方が無いんだ。俺はタンクだから、生存率を上げていかないとな」


「ふーん。ちなみに俺のステータスはどう?」


「ええっと、『シャイニングペインサークル』をスロット2に入れた方がもっと火力が出るな」


「え? こうした方が良いの?」


「ああ。あとハルオ、お前の弓は攻撃力+5じゃないか。もっと良い弓を取ったからやるよ」


 シュウジはヒットボウをアイテム欄から取り出してハルオに渡す。


「えー! シュウジくーん、ありがとうっ。君は最高の友達だ」


「普通の友達で頼む。あと光のルーンもやるよ。ハルオは、スキルのブリリアントレインとシャイニングペインサークルが光属性だから、ダメージが上がるはずだ」


「そうだけど、光のルーン? これってどうやって使うの?」


「試しに弓に使ってみろよ」


「オーケー行くぜ。ポチッとな」


「どうだ?」


「うーん、弓の光属性ダメージ1,5倍って書いてあるけど」


「それは強いな」


「マジで? イカスイカス、俺イカース!」


 女性陣がこちらへ歩いてきた。どうやらユニフォームが決まったようである。カタログを見せてくる。


「シュウジさん。この、ピンクのTシャツに男性は黒のズボン、女性は黒のスカートでいかがですか?」


「ピンクのTシャツはきついな」


「団長~、せめてユニフォームはピンクじゃ無くて赤にしてくださーい」


「お二人ともピンクも似合うと思いますよ」アヤノが人差し指を立てる。


「そうです! 『あるりなみーみ』のカラーはピンクで決まりなのですよ」


「ピンクかあ」


「まあ、シュウジくんは似合いそうだけど、イケメンだし。だけど俺、似合うかなあ」


「まあいいか、ピンクで」シュウジは折れた。


「おーい、シュウジくーん。もっと格好良い色をプッシュしようぜー」


「それで何ですが、素材が調達できる場所はと言うとですね。説明を見るとー」


「ミリアさんが俺の話を聞いてない。これって無視ってやつ!?」


「ちゃんと聞いてるですよ、ハルオ。ハルオにはピンクが似合うです!」


「え? マジ? 見蕩れる? フォーリンラブってやつう?」


「素材アイテムを落とすモンスターはリンブルの森というところにいるみたいです。なので、これから行くですよー!」


「ミリアさーん、やっぱり聞いてない?」


「ハルオは自分を好きになってくれると女性を野良で探すと良いです」


「そんなー、野良で探すなんて、できるかな俺」


「知りませんが」


「アヤノちゃん、俺なんてどうだい?」


「え?」


「アヤノちゃんのナンパするんじゃねー」ミリアがハルオの足を踏みつけた。


「痛って、ぐわ痛って!」


「おい、馬鹿やってないで行くぞお前ら」とシュウジ


「そうですね」とアヤノ。


 四人で服屋を出る。そして町の東出口へ向かって歩いた。その途中、前方から嫌な奴が通りかかった。そいつ、ハクヤはシュウジの姿を認めると立ち止まる。四人も足を止めた。シュウジが前に出た。


「何か用事か? 通り魔」


「通り魔とはひどい言われようだね。まあ実際通り魔なんだけどね、ふふふ」


「俺たちは出口に行きたいだけだ。そこを通っても良いか?」


「せっかく会ったんだ、少し話そう。時にシュウジくん、君はこの世界をどう思う?」


「どう思うって、どういうことだ?」


「この世界は狂っていると思わないか? モンスターを殺して、人間を殺して、勝てば勝つほど強くなれる。まるで日本でいうところの戦国時代のようだ。強さが正義であり、弱さは悪だ。では弱い者には天国へ行く権利が無いのか?」


「何が言いたい?」


「僕たちはどうしてこのゲームをしているのだろう?」


「それは、女神に言われたからじゃないか?」


「違う、違う違う。シュウジくん、君は自分の生きる理由ぐらい自分で見いだした方が良い。僕はもう決めたよ。この世界の人間を全て殺すこと。それが僕の生きる理由だ。殺し尽くしてたった一人となり、そこで女神に問おうと思う。どうして僕にこんなゲームをさせたのか、をね」


「狂っているな」


「狂っている? 褒め言葉だね。時にシュウジくん。いまここで僕と、殺し合いをしないか? シャルウィーダンス?」


「男と踊る趣味は無いんでな」


「それは残念」


「急いでいるから、もう行くぞ」


「どうぞどうぞ。僕はいま機嫌が良いんだ。だから通してあげよう」


「みんな、行こう」


「はいです」とミリア。


 四人がハクヤの隣を通り過ぎていく。最後にシュウジは振り返った。ハクヤももう向こうへ歩いて行くところだった。重苦しさが胸の中で渦巻いていた。ああいう奴とは関わり合いになりたくないものである。


 東出口から四人は村を出た。



 【リンブルの森】



 素材モンスターが出現する森に着いた。地面にはフォレストコロンやムーンコロンなどの、ウサギのようなモンスターが出ている。可愛いゆるキャラのような姿をしており、はっきり言って弱そうだ。


「よし! みんな、着きましたです。コロンを狩って、素材を入手するですよ」


「いくつ集めれば良いんだ?」


「コロンって、こんな可愛いキャラを殺すの俺たち!?」


「ハルオ様、殺すのではありません。眠らせると言ってくださいな」


「よーし、永眠させるぞー」


「シュウジさんええっと、一人分のスキン制作につきコロンの毛皮が100枚必要みたいです」


「そうか。じゃあいっぱい狩らなきゃいけないな」


「ですです。連携は取りますか?」


「どうだろう。コロンの強さにも寄るが」


「ここで俺が、バーニングアローを撃つぜー」


 ハルオが弓矢を構えて、炎にくるまれた矢を撃った。フォレストコロンに命中し、一撃で仕留めている。コロンは弱いようだ。それを見たシュウジが言った。


「固まって行動しながら、特に連携は取らずに、じゃんじゃん攻撃を当てて倒していくか」


「そうですね!」


「かしこまりあやのです!」


「じゃんじゃん行こー」


 そしてみんなが好き放題にスキルを放ち、コロンを倒していく。四分の一ほどの確立でコロンは毛皮を落とした。そして一時間ほどが経過した頃のことである。シュウジたちは森の奥の方まで侵入していた。木々の間から、やけにでかい図体をしたコロンが現れる。



 ――ボス、ウキウキコロンバーストモード。



「お前たち、あたしの爆発を食らって生き延びれるかなー?」


「シュウジさん、ボスです!」


「みんな、いつもの連携で頼む!」


「わ、わわわ、分かったよ! バックアタックをすれば良いんだね!」


「これは何と可愛らしいボスでしょうか」


 シュウジが勇敢に突っ込み、『ダークネスブロー』でボスを薙ぐ。最近になって分かったのだが、この『ダークネスブロー』は敵のヘイトを自分に向ける効果があるようだ。ただ効果は小さい。それでも連続で放つことにより、ターゲットを維持することができた。


 シュウジは思った。



 ……さっきこのボスは、爆発を食らって生き延びられるかな、と言ったよな。

 ……ということは爆発攻撃をするのだろう。

 ……そして爆発を食らった上で倒すことが、隠しクエストクリアの条件かもしれない。



 ユニークスキル『思考力』が音を上げて回転する。今までの流れで行くと確率は高い。しかし、爆発を食らってみんなは耐えきれるのだろうか? その保証は無かった。少し考えて思いついた。シュウジはアヤノを向いて叫ぶように言う。


「アヤノ! プリンアラモードは俺が使えと言ったら使え! それまでは使うな!」


「か、かしこあやのですっ」


「こんなヤバい場面でボケなくても良いぞ」


「かしこまりました!」


「よし!」


 シュウジは『シールドエンチャント』を使う。そしてとにかくダメージを出すことに集中した。途中ステータスボードを出し、セットスキルの並び順を変えた。スロット1に『ダークネスブロー』をセットする。すると『ダークネスブローLV2』になった。スキルの回転速度が早くなり、ダメージが2倍ほどに上昇する。



 ……もっと火力が欲しいな。

 ……贅沢は言っていられないか。



 ミリアがドットダメージスキルを早口で唱えている。小さな稲妻が振り、コロンの胸にハートが割れたようなマークのグラフィックが立て続けに起こった。そしてハルオの新しいスキル『シャイニングペインサークル』は効果絶大だった。範囲攻撃であり、一度撃つと2万7千ほどのダメージグラフィックが出ている。



 ……ハルオは凄まじい火力だ。



 シュウジは攻略中のダメージ計算式を思い浮かべて、なるほどと思った。先ほど見せてもらったハルオのステータスから計算からすると、『シャイニングペインサークル』のダメージ倍率は10倍ほどである。つまり、通常攻撃の10倍のダメージが出る。ただしクールタイムは長いようだ。もちろん他にもバックアタックなどの恩恵があった。


 計算式は。


 226(ハルオの基礎攻撃力)×5(弓の極意)×1,5(光のルーンの光ダメージ増加率)×2(ペットの光ダメージ増加率)×10(スキルのダメージ増加率)×1,2(バックアタック)=約4万。


 そこに敵の防御力がどれくらい関係してくるのか。ダメージカット率も関係しているだろう。


 ちなみにシュウジが与えているダメージは、一度に600ほどである。ハルオの足下にも及ばなかった。


 やがてボスモンスターは顔が真っ赤になり、ぷくーと膨れ上がった。


「ば、ばばば、ばくばく、爆発してやるんだからあ!」


「アヤノ! プリンアラモードだ!」


「『プリンアラモード!』」


 四人の体にオレンジ色のバリアが現われる。そしてウキウキコロンバーストモードは爆発した。ドカンッと音がして爆風があり、周辺が火と煙に包まれる。シュウジは地面にしゃがんだ。自分のHPは減っていない。大丈夫だ。『プリンアラモード』がしっかりと防いでくれたようだった。火と煙が引いて、また立ち上がる。


「『シャイニングペインサークル!』」


 ハルオが唱えてスキルを放つ。対象の地面にサークルが現われて、四方に現われた光の矢がボスに突き刺さった。HPが四分の一も削れて、その場に倒れる。


「くそ、お前らなんかにぃぃ」


 ドンッと音がして、目の前に文字が表示された。



 ――隠しクエストクリア――



 ……やっぱりか。

 ……爆発を受けた後で討伐するのが隠しクエストクリアの条件だったらしい。



 みんなの手元にカードが振ってきた。シュウジは手に取り、ステータスを呼び出してアイテム欄にしまう。説明を見ると、指輪カードと書かれてある。今まで取ったカードとはまた違う種類のカードだった。効果はセットスキルのスロット1のランクを上げる効果と、HPの10倍である。マジか!?


 ステータスには新しい項目が追加されて、その欄が緑色に光っていた。タップすると、装飾品にカードをはめる画面が現われる。シュウジはミッドベルで取得した豪炎の指輪をまだ装備していた。指輪にカードをはめる。HPが6600から66000に上がった。そしてセットスキルのスロット1のランクが3に上がった。


「シュウジさん、ボスを倒したです! そして隠しクエストをクリアしたです!」


「へっへーん、どうだ! 俺の実力を見たか!」


「皆さま、ご無事で何よりです」


「ハルオは本当にすごいな……」シュウジは小さな声でつぶやいた。


「シュウジさん! このカード凄いです! HPが10倍になりましたよ!」


「ああ。この世界を生きていくためには必須カードだな」


「そうなんですか? でも10倍って、強すぎます」


「いや、そうでもない。10倍でも足りないぐらいだ」


「え!?」


「いや、こっちの話だ。ところでみんなも、これからはHPにステータスポイントを少しずつ振っていった方が良いだろうな。最低でも100万HPは欲しいところだ」


「100万って、遠すぎ!」


「わたくしはもうありますが」


「嘘!?」


「わたくしはステータスポイントをHPに全部振っていますので、いま149万2500HPありますね」


「ど、どうやったらそんなになるですか?」


「わたくしもよく分からないのですが」


 シュウジは計算した。


「アヤノ、ペットはウサギか?」


「はい。ウサギでございます」


「お前のレベルはいくつだ?」


「19です」


「なら分かった。ペットのウサギでHP1,5倍。そして今のカードでHP10倍。さらにパッシブスキルがあるんじゃないか? それがHP5倍の効果なんだろ。いまアヤノは19レベルだから、ステータスポイントをHPに極振りすれば、ちょうどそれぐらいだな」


「シュウジさん、計算速いですぅ」


「149万もHPがあるんなら、何が来ても怖くないよー、アヤノちゃん、凄い凄い、すごーい!」ハルオが両手の親指を立てた。


「まあステータスの話は後にして、コロンを狩って、素材を集めてしまおう」


「そうですね」とミリア。


「分かったよー、シュウジくん」


「かしこあやのです」


 そしてシュウジたちはフォレストコロンとムーンコロンの狩猟を再開したのだった。シュウジはステータスのスキルを入れ替えながら狩りをして、様々研究をしていた。



 ……これは何だ?



 気づくと、アイテム欄に金色に輝くカードが入手されていた。タップするとウキウキコロンのスキンカードと説明がある。



 ……他のみんなは手に入れていないのか?

 ……誰も何も言っていないところを見ると、俺だけのレアドロップなのかもしれない。



 シュウジは運の数値が高い。そのおかげで10%の確率でレアドロップが手に入る。彼はスキンカードをどうしたものか考えた。考えに考えて、また後で考えることにする。そしてそれから三十分ほどが経ち、全員分の素材が集まった。みんなで帰還の札を使い、アンクルミーデの村へと帰還したのだった。



 ◇◇◇


 名前  ミリア


 レベル 17     詳細


 HP  77000  {1700(基礎値)+6000(ステータスポイント60消費)}×10(指輪カード)

 攻撃力 18     17(基礎値)+1(武器)

 防御力 61     51(基礎値)+10(防具)

 素早さ 51

 魔攻  157    51(基礎値)+6(武器)+100(ステータスポイント100消費)

 魔防  61     51(基礎値)+10(防具)

 運   0


 移動力 130%


 アクティブスキル 『エレキトリックショックサイン』『リカバー』『ブラッドペインマーク』『スリープパラライズ』

 パッシブスキル  なし。

 セットスキル   スロット1『エレキトリックショックサインLV4』

          スロット2『ブラッドペインマークLV2』

          スロット3『スリープパラライズ』

          スロット4『リカバー』


 ユニークスキル  『死の宣告』


 武器  『綺麗なマジックブック(攻撃力+1 魔攻+6)』

 防具  『オーク皮の帽子』『オーク皮のグローブ』『オーク皮の鎧』『オーク皮のベルト』『オーク皮の靴』(合計 防御力+10 魔防+10)


 スキン ゴスロリのワンピース

 ペット 綺麗でナルシストな白鳥LV2(ペットアビリティ:移動力1,3倍。風ダメージ増加率3倍)(LV2進化効果:セットスキルスロット1のランクが上がる)


 選択中の変身モンスター メリーグーテル


 注 ミリアはレベルアップごとにHPが100上昇する。そして攻撃力と運以外の値が3ずつ上がる。攻撃力は1ずつ上がり、運は全く上がらない。


 ◇◇◇


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