2の2 ハイポーションの調合
2の1からリメイクをしています。なので一つ戻って2の1からどうぞ。
【アンクルミーデ、道具屋】
アンクルミーデの道具屋は、ミッドベルのそれよりも品揃えが豊富だった。例えば転移の札というものが売っている。アヤノに聞くと、行ったことのある村や町へワープできるアイテムだった。
先ほど広場でハクヤ使った札もこれだろう。シュウジは数枚買うことにした。他にもいくつかのお菓子を買った。もちろん食べるためだ。いま、ミリアとハルオが道具屋で売っている物を眺めている。アヤノは特に欲しいものが無いようで、シュウジたちの後ろに立っていた。
シュウジは道具屋のおばさんに話しかけた。
「なあ、おばさん。この町のクエストを解放するにはどうすれば良いか。知らないか?」
「知らないねえ。知らないということにしておこうか、ふふふ」
シュウジはステータス画面から大銅貨一枚を取り出した。カウンターに置く。
「これで教えてくれるか?」
「大銅貨をもらっても、喋ることができる事とできない事があるよ?」
「じゃあ質問を変えよう。この町の特産品はなんだ?」
「それはハイポーションさ」おばさんが大銅貨を受け取った。
「ハイポーションはこの店にも売っているのか?」
「売ってないよ。村のハーブ園に行けば作れるけどね。あんたも一度、行ってみるといいよ」
「分かった。ありがとう」
なるほどなとシュウジは思った。ハーブ園に行けばハイポーション制作のクエストが起こる可能性がある。
「ミリア、ハーブ園に行こう」
「ハーブ園ですか?」
「ああ、クエストがあるかもしれない」
「かしこみりあです」
「さっすがシュウジっくーん。もうクエストを見つけたのかい?」
「クエストかどうかは分からんがな」
「次はハーブ園に行くんですね」とアヤノ。
「ああ」
四人で道具屋を出て歩き出す。ステータスを出すと画面の右下に地図が表示されていた。それを頼りにハーブ園へと向かう。
ハーブ園には四つの大きな木で囲まれた畑があった。様々なハーブが栽培されている。畑の隣には小さなレンガの家があった。このハーブ園の持ち主だろう、麦わら帽子をかぶったおじいさんが畑の世話をしている。
シュウジがおじいさんに話しかける。
「あの、すいません。俺たち、ハイポーションを作りたいんですが」
「ハイポーションを作るじゃと? おめえみてえな若造には無理だわい。ハーブの調合ってのは、千回失敗してやっと半人前だよ。おめえにそれぐらいの根気があるのか?」
ドンッと音がして目の前に文字が表示された。
――ハイポーションを製作しよう――
ピコーンと音がなり、シュウジたち四人の眼前にステータスボードが出現した。見ると調合という欄が新しく増えており、緑色に点滅している。シュウジは押してみた。
書いてある説明を読んでシュウジは理解した。二つ、あるいは三つのアイテムを素材にして、調合ができるようだ。なるほど、上手くやればハイポーションを調合できるということだろう。
「シュウジさん、調合をするです!」
「そうだな」
「よしっ! 俺が最初にハイポーションを作ってやるぜ。見てろよー」
「わたくしも微力ながら頑張ります」
そしてみんなでハーブ園のおじいさんからハーブを買い、調合を繰り返していく。
シュウジにはやってみたいことがあった。ユニークスキル『思考力』が音を上げて回転している。先ほどおじいさんは、千回失敗してやっと半人前と言った。では、千回失敗すると何かが起こるのだろうか? 試してみる価値はありそうだ。
シュウジはおじいさんから買い物をして、レモングラスとカモミールを買った。二つを素材にして調合をすると、失敗した。レモングラスの値段は銅貨三枚。カモミールの値段も銅貨三枚である。千個ずつ買うと銀貨6枚の値段がした。シュウジは二つの素材を組み合わせて、調合の失敗をし続けていく。
ミリアが声を高くして言った。
「シュウジさん! ラベンダーとカモミールとタラゴンの調合で、ハイポーションが出来たです!」
「ミリアさん早っ!」
「さすが団長ですね!」
「おう! やるな、ミリア!」
シュウジも丁度、調合の千回の失敗が終わったところだった。ドンッと音がして、目の前に表示が現れる。
――クエストクリア――
――アンクルミーデ村の全てのクエストの解放――
やっぱりだ! 調合を千回失敗することがクエストクリアの条件だったらしい。空中からラピスが振ってきた。シュウジは両手で受け止めて「ステータスオープン」と唱える。ラピスをアイテム欄に入れると、それは『兜ラピス』という名前だった。ラピスの項目から兜に装備した。装備効果で、セットスキルのスロット2のランクが2に上がった。シュウジは他の三人にもクエストのクリア情報を伝えた。
「千回失敗!? シュウジさんはどうして気づいたですか?」
「最初におじいさんが言った言葉をヒントに、やってみただけだぞ」
「シュウジさんはやっぱり勘が良いです」
「おう、褒めてくれ」
「格好良いです」
「どの辺が?」
「服と」
「服かいっ!」
「靴と」
「靴かよっ!」
「あと顔です」
「普通に褒めるなよ恥ずかしい奴だな!」
「あははははっ」アヤノがこちらを見て笑っていた。
「どうしましたですか? アヤノちゃん」
「二人はとても相性が良いのですね」
「ベリーグッドなのですよ」
「ベリーバッドかもしれないぞ?」
「超ベリグって感じです」
「お前はいつの女子高生だ?」
「私の仲間に入れて欲しいのですがー」とアヤノ。
「アヤノちゃん、シュウジさんは超ベリグって感じです」
「ええ、超ベリグッ、ですね」
「うんうん、シュウジくんは超ベリグだー!」
「お前らうるさい」
シュウジはまたハーブを買い、ラベンダーとカモミールとタラゴンを調合してハイポーションを作った。ドンッと音が鳴り、目の前に文字が表示される。
――クエストクリア――
他の三人も調合千回の失敗を終えて、村の全クエストを解放させた。そして『兜ラピス』を入手したのだった。それからシュウジたちは話し合い、他のクエストを探す前にレベリングをすることにする。狩り場に行く前に村の武器屋と防具屋で装備を揃えた。そして町の出口を出て、近くの草原へと向かったのだった。




