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1のエピローグ



 【ミモネ山洞窟、ボスの間】



 祭りが行われた日の朝、シュウジたちは三人でメリーグーテルのいる洞窟へ行った。隠しクエストをクリアして、シュウジ以外の二人も変身カードを手に入れるためである。一人で戦い倒すのが条件だった。


 ミリアは『エレキトリックショックサイン』を多用してボスの移動力を下げつつ部屋を逃げ回る。変身カードを楽々手に入れることができた。


 代わってハルオは残念ながら入手できなかった。逃げ撃ちにまだ慣れていない。できるようになったらまた取りに来ようという話になる。


 三人で村へ帰還した。今日は光曜日である。ギルドバトルのある日だ。ちなみに曜日は、光曜日か始まり、無、火、土、水、風、闇曜日となっている。世界に存在している属性の名前から取っているようだ。


 ギルドバトルは午後の一時からだった。いつもの食堂で昼食を済ませ、五分前になると三人はステータスを出した。その頃には対戦するギルドの名前が表示されていた。



 ――ギルド、サブリナ。



 シュウジは緊張で腹が痛くなった。サブリナは強いギルドだろうか? 少なくとも『あるりなみーみ』よりも強いのではないか?



 ……気楽に行くしかないな。

 ……負けても良いさ。

 ……死んでもバトルフィールドから弾かれるだけだしな。


 そしてすぐに一時が訪れる。シュウジはギルドの項目から侵入をタップした。体が青白い光に包まれて消える。



【ギルドバトル専用フィールド、岩山の空間】



 高い岩壁に囲まれた円形の地面にシュウジたち三人は降り立つ。学校のグラウンドほどの広さがあった。シュウジはロングソードを抜き、辺りを見回す。特に障害物のような物は無く、守るような味方陣地も無い。すぐ近くにはミリアとハルオがいて、同じように周囲に顔をさまよわせている。



「や、やば、やばやばやば!」ハルオがぷるぷると震えている。


「シュウジさん、敵がいますです!」ミリアが前方を指さす。


「二人とも、死ぬつもりで今日は気楽に行こう」


「シュウジくーん、もちろん俺を助けてくれるよね?」


「助けん!」


「マジでっ!?」


「ハルオ、自分の身は自分で守ってください!」とミリア。


 シュウジはバトルルールがまだ分からなかった。事前に得ることのできた情報は少なく、死ぬとフィールドを弾かれる事ぐらいだ。そしてとりあえず敵を倒せば良いんじゃないか? と予想していた。


 敵は少女たった一人だった。ハーフツインの黒髪に、控えめで小さい鼻と唇。格好は平民服である。こちらに近寄って来る様子はない。シュウジたちの格好は王子にゴスロリ、そして平民服の背中にアゲハチョウウイングの姿だった。強敵であると判断して、少女はおじけづいたのかもしれない。



 ……だけどレベルは低いんだよなあ、俺たち。

 ……とりあえず行ってみようか。



 シュウジは歩き出した。敵ギルドの少女に向けて真っ直ぐに歩いて行く。後ろからミリアとハルオが着いてきた。少女のHPバーの名前が見えるところまで接近する。名前アヤノ、レベル15。


 アヤノが両手に持っているのはなんと泡立て器である。ショートソードほどの大きさがあった。シュウジは怪訝な顔をした。



 ……泡立て器って、どんな職業なんだ?

 ……料理でも作るのか?



 アヤノはひどく怯えた顔をしていた。こちらを襲ってくる様子は無い。シュウジはどうしたものかと思い、ミリアを振り返った。


「おいミリア、相手が襲って来ないんだが」


「シュウジさん、ちょっと待っていてください。私、話しかけてみるですよ」ミリアが武器を下ろしてアヤノに近づいていく。


「おーいミリアさーん。一人じゃ危険だぞー?」とハルオ。


 ミリアはアヤノに挨拶しそれから会話を始めた。距離が遠いので聞き取れず、シュウジはただ待っていることしかできなかった。ハルオは弓を空に向けて、飛んでいる鳥に矢を何度も放った。


 十分も経っただろうか、やがてミリアが手招きした。シュウジとハルオも歩み寄る。ミリアが紹介をしてくれた。



「シュウジさん、アヤノちゃんです」


「お初にお目にかかります、アヤノと申します」


「初めまして、シュウジだ」


「俺はハルオでっす。ねえねえ君君、可愛いね」


「アヤノちゃん、ハルオは無視して良いんですよ」とミリア。


「かしこまりました」アヤノがクスと笑みをこぼす。


「ひどっ、無視とかひどっ、ていうかいきなり了解しないで欲しいなっ」


「アヤノさん、あんた、一人でギルドやってるのか?」とシュウジ。


「ギルドサブリナは。最初は大きなギルドだったんですが、みんなが次々に抜けていきまして、最後に残ったのがわたくしです」


「シュウジさん、アヤノちゃん可哀想」とミリア。


「確かになあ」


「アヤノちゃん、うちのギルドに入れば良いですよ」


「あ! 良いんですか?」アヤノがぱっと瞳を輝かせる。


「うん。シュウジさんも良いよね!」


「まあ、俺は基本ソロだから、何でも良いけどな」


「それにしては団体行動していると思うですけど?」


「たまには一人の時間が欲しい」


「アヤノちゃん、私団長なの。フレンド登録しましょう」ミリアがステータスを出す。


「ミリア様と呼ばせてください」アヤノがうっすらと頬を染めた。


「ちょ、それはちょっと……」


「ミリア様、どこまでも着いて行きますわ」


「貴方はそういうキャラですか?」


「これが素です」


「ふーん」とミリア。


 二人はフレンド登録をした。ギルドバトル中はギルドの出入りができないようだった。イベント後にアヤノはこちらへ加入するようだ。


 四人は地面に座りそれからも色々と話をする。もはや戦う空気は失せていた。アヤノはミッドベルの次の町にいるようで、町の名前はアンクルミーデと言うらしい。


 ギルドバトルの情報をアヤノは知る限り教えてくれた。時間制限内に多くの生存者を残したギルドが勝利である。他にも敵を一人キルするごとにペットの育成ポイントがもらえるらしい。


 バトル勝利の報酬はペット進化の実であり、ギルドに一つだけ手に入るようだ。他にもシーズンの勝率の高かったギルドのメンバーには、ペットアビリティ精練石がいくつももらえる。


 ミリアとアヤノがかしましく会話に花を咲かせている。アヤノは控えめな性格であり相手を立てる性質があるようで、ミリアはご機嫌だった。そんな事をしている間にも、ギルドバトル終了の時間がやってきた。タイムリミットは三十分のようだ。ドンッ、と音がして目の前に文字が表示される。



 ――勝者『あるりなみーみ』――



 こちらの生存者の方が多いので、勝利判定をもらったようだ。四人はさようならも言えずに青白い光になってワープする。シュウジたち三人は元いたミッドベルの大衆食堂に降り立った。ミリアがすぐに彼女にフレンド欄からギルド招待を送っていた。こうして、アヤノが『あるりなみーみ』に加入した。



 ◇◇◇


 名前  アヤノ


 レベル 15


 HP  46500

 攻撃力 16

 防御力 55

 素早さ 45

 魔攻  45

 魔防  55

 運   0


 ステータスポイント 0


 アクティブスキル 『点火』『プリンアラモード』『イチゴ大福』

 パッシブスキル  『長命の秘訣(効果:HP2倍)』

 セットスキル   スロット1『点火LV2』

          スロット2『プリンアラモード』

          スロット3『イチゴ大福』

          スロット4『長命の秘訣』


 ユニークスキル  『身代わり』


 武器  『泡立て器(攻撃力+1』

 防具  『木の帽子』『木のグローブ』『木の鎧』『木のベルト』『木の靴』(合計 防御力+10 魔防+10)


 スキン 平民服セット

 ペット 寂しがりなウサピョン(ペットアビリティ:HP上昇率1.5倍。光ダメージ増加率2倍)



 ※HPにステータスポイント1振ると、100HPが増える。


 ◇◇◇


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