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捨てられ令嬢は、呪われ伯爵と幸せになる  作者: セイバン・キイタ
12/55

12.アルが、のぼせた

 二人きりの大浴場。

 

 湯舟に二人きりの、エレイナと、アル。


 アルは、じっとエレイナを見る。

 秘密を打ち明けるには、良い状況かも知れない。

 だが、

「やっぱり怒ると思う」

アルは、困った様に、他所を向いた。

 エレイナも、困った様に顔を顰める。

「もう、何なの?」

「怒る。絶対怒る」

「怒らないって」

「怒る」

「怒らない」

 アルが、堪らずエレイナを見た。

「どんな話かも分からないのに、何で怒らないって言えるの」

「じゃあ、話してよ」

 二人は、黙り込んだ。

 ぷっと、同時に吹き出した。

「何か、おかしな話してるね」

エレイナが、笑った。

「うん」

アルも、笑った。

 よく見ると、アルの目は、とろんとなっていた。顔も赤くなっている。のぼせたのかもしれない。

「アル、大丈夫?」

「うん」

アルは、答えるが、力尽きた様にエレイナの肩に寄り掛かって来た。

 エレイナは、そっと、アルを抱き留めた。


 アルは、頭がぼうっとしながらも、エレイナの柔らかい身体が自分の体に当たっている感触に、嬉しさと悲しさとを同時に覚えた。何か言いたかった気もするが、頭が働かない。


「もう、出ましょうね」

エレイナは、そう言って、アルを支え、湯舟から出た。


 脱衣所に行くと、アルを長椅子に寝かせ、体を拭いたタオルで風を送った。


「大丈夫?」

「うん」


 アルは、暫くは息が上がっていたが、次第に落ち着いて来た。


「今度、話す」

ふいに、アルが呟く様に、言った。

 エレイナは、風を送りながら、

「うん」

と、答えた。


「今度の、満月の、夜に」

と、アルは、言った。

 

 満月の夜、と言う言葉を聞いて、エレイナは、とっさに思い出す。――以前、満月の夜に、窓辺に現れた男の姿を。


 何者なのか。どこから来たのか。男は、何も語る事無く、月が雲に隠れている間に居なくなってしまった。

 

 エレイナは、アルを見た。


「うん……」

エレイナは、そう答えた。






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