9話 劇団との交渉生活
メモにある場所に行けば、一団が出立の最終確認している所だった。
そこで指揮をしている一番偉そうにしている人に声を掛ける。
「失礼、この一座の座長とお見受けします。少しお話しよろしいでしょうか?」
「いかにも。私はこの一座の座長アーマノ=ウーズメだが、貴方は?」
[この忙しいときになんだい(怒)]
「私、この街で冒険者をしております。シルド=グロップといいます。短刀直入に言います。私をこの一団に同行させてはもらえないでしょうか。」
「護衛は間に合っております。お引き取りを。」
[よくいるんだよね。こういった売り込みが。今度この街による際にはギルドに苦情を入れておかねばな]
「いえ、護衛として雇ってほしいのではなく同行です。二ーフ村の近くまででいいので。もちろんその間に護衛もしますし下働きでもなんでもやりますので。」
[うむ。言葉遣いは冒険者にしては丁寧だが…『なんでもする』?…本当なら儲けもんだが…やはりここは毅然と断…]
「シルドさん!シルドさんじゃないですか!」
「君は…アクト君か。久しぶりだな。」
[なんだ? うちの看板役者と知り合い?]
「ここにいるって事は役者になれたのか?」
「はい。ここで何とか看板役者やらせてもらってます。」
「すごいじゃないか。看板役者なんて。」
[アクトが冒険者時代に世話になった人がいると聞いていたが、彼が?]
「っていうか、一週間ここで公演してたのにシルドさん知らなかったんですか。」
「済まない、ここの所依頼が連続であってね。演劇団が来てるなんて知らなかったんだ。」
[確かに冒険者の客は皆無であった]
「で、どうしたんです?」
「いや、南の田舎に帰ろうかと座長に同行を願い出てたところだよ。」
「座長。同行を許可してください。お願いします。」
[アクトがここまで言ってくるなんて…]
「おっ。シルドの旦那もここの護衛に?」
「でも、依頼は僕らで締め切られたはずだよ。」
[護衛の冒険者とも知り合いか?]
「護衛として雇ってもらうんじゃなく同行を願い出てるだけだよ。もちろん護衛もするがね。」
「旦那がいてくれりゃ鬼に金棒だ。なっ!」
「そうだね。じゃあ食事の準備も?」
「頼まれればそちらもするよ。」
「やったー!」
「それも同行の許可が出てからだよ。」
「雇い主さん、俺たちの依頼料減らしてもいいから許可出してはくれねーか?」
「こら!ギルドの決めた値段を勝手に変えちゃいけないよ。」
「す、すいやせん。」
[知り合いなだけでなくギルドでも上の存在か]
「わかりました。同行を許可しましょう。」
「「「やったー!」」」
「ありがとうございます。」
アクト君や 護衛パーティーの推薦もあり何とか同行の許可がもらえた。
同行させてもらえるのだ。安全のため自重は(ある程度)無しとしよう。