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『盾』役者の生活  作者: 愉魅夢
クランからの追放
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5話 止まり木亭での洗濯場生活

厨房も一段落したし、おばちゃんに次の仕事の確認しておこうか。


「おばちゃん。後で洗濯もしておこうか?」

「そりゃあ助かるけど、それは明日の仕事だよ。」

「俺の着替えの洗濯もあるし、ついでだよ。」

「そうかい、そうしたらもう厨房はいいからやっておいてくれ。洗濯ポストの鍵は受付に置いてあるよ。」

「わかった。ではここはもう上がります。」



受付で洗濯ポストの鍵を借りて中を見ると、


「俺の分を入れて7袋か。」


この量ならいっぺんに終わるな。

まずは袋の中を確認だ。


「こっちは、下着ばっかり⇒OK。これは…服も混ざってるが同時洗いOKだな。こっちはブラ?そういえば女性客も泊まっていたな⇒ブラとパンティーだけ別洗いにしておこう。この袋もOK。これは…防具は洗えません⇒除外。これは俺の。で最後は…パンツばかり、しかも烏賊臭い⇒別料金扱いにしてもらうようおばちゃんに報告だ。」


選別終了。

次に井戸のそばに空き樽を運び込み、水を入れるのだが、釣瓶だと時間がかかる。こういう時は


(ちょっと高い声で)「ハイ!サクションホース!」


と出したのは乾燥させた魔獣の腸だ。もちろんどこから取り出したかは秘密だ。けっして、おなかのポケットからではない事は断言しておく。


これの端を井戸に入れてもう一方は樽へ。そして『バキューム』。樽の空気を抜けば、


<ドボドボドボ!>


自然に水が入るという寸法だ。

魔法士ならこんなホースがなくとも井戸から直接水を上げれるが、俺だと井戸の底は射程範囲外だ。

故にくみ上げるのではなく吸い上げている。

水が入れば次は『ヒート』。ぬるま湯にする。そこに石鹸を溶かし込み、衣類を袋ごと入れた後は。

『ウォータートルネード』。樽の中を攪拌する。

魔法の発動を頭に留めながら、ブラとパンティーは手もみ洗いする。

俺も男だから、『ブラとパンティー』ってだけで(よこしま)な発想が湧くが、魔法の発動中なので集中力がそちらにとられるので幾分か抑えられている。

ともかく丁寧に洗い、酢水で中和すすぎをし、真水ですすぎを行う。

次に、樽内の衣類は取り出し、用意しておいたもうひと樽へ移す。こちらにも少量の酢を入れてあり、洗剤の中和を促すようにしてある。

こちらに『ウォータートルネード』を掛けながら、樽の残りの洗剤液に最後ののパンツをぶち込む。

そして『スーパーウォータートルネード』。強力攪拌すれば少しはましになるだろう。

洗いが終わればパンツを取り出し洗剤液を捨て綺麗にしてから水を張り、酢入りで中和すすぎした衣類を入れる。

さっきのパンツは酢入り樽にぶち込み、ダブル『ウォータートルネード』。多重起動でも同じ魔法なら発動が楽だ。

すすぎ終わった衣類は取り出し絞って干してゆく。パンツはまだすすぎ中だ。

袋ごとにわかるよう洗濯ばさみの色を変えておく。女性ものと自分のは後回しにして、パンツを脱水だ。こちらは袋ごと絞ってから干す。


女性ものと自分のには『ドライヤー』で乾かす。特に女性ものにはできるだけ優しくふんわりになる様に。

乾いた衣類はきちんとたたんで袋に入れて、これで終了だ。


洗濯が終われば後片付け。

樽を元の位置に戻し『サクションホース』も『収納』する。


最後の仕上げだ。


『ウェザーリポート』


魔力波を打ち上げて天候を読み取る。

仕組みは『アクティブマナー』と同じだが、いかんせん範囲が広い、ここは魔力を細く広く広げるのがコツだ。

1分ほどして解析終了。

朝方まで雨無し。北西の微風により露の降りる心配なし。朝方にはあらかた乾いていることだろう。



「おばちゃん、洗濯終わったよ。」

「相変わらず仕事が早いね。もう終わっちまったのかい。」

「朝にはあらかた乾いてると思うから、陽が出て1時間ほどで取り込めると思うよ。」

「そうかい、明日は楽ができるね。」

「それとコレ。防具が入ってたよ。」

「ええと紺のタグだね。204号室の子かい。後でしっかり言い聞かせとくよ。」

「それと黄色のタグだけどパンツばかりで汚れがひどかったから別洗いにしたよ。」

「302の子だね。次やったら別料金取るって脅しとくよ。」

「後、これ。女性ものだったから乾燥までかけといたよ。」

「そこまでされちまうと、後が大変だよ。いつもしてくれるって思われたら困るよ。」

「「偶々泊まっていた流しの洗濯屋が特別にしてくれた』って事にしといてくれ。」

「しょうがないねぇ。まあ、うまく言っとくよ。」

「済まない。…これで仕事は終わりかな?」

「ああ、今日はありがとね。」

「少しはおばちゃんに恩は返せたかな。」

「なに坊がしおらしい事言ってんだい。明日は早いんだろ。さっさと寝な!」

「はい、おやすみなさい。」

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