3話 脱退時の生活
「「「えー、シルドさん辞めちゃうんですか!」」」
現パーティーメンバーを集めて事の次第を報告した。
「だから反省文はなしだ。よかったな。で、解体等の件。苦情としてクランに出したのか。」
3人とも驚いた顔をしていた。
「そんな事してません!」
「そりゃ慣れない事させられて愚痴も言うこともありますが」
「解体や自分の『職』以外の事は為になります。全部俺らの事を考えての事でしょう。」
つまりはその『愚痴』を苦情として取り上げられたのか。
「そうか、それを聞いて安心した。今これをお前たちに渡しておこう。」
「何ですこれは?」
「お守りだよ。お前たちが一人前になったら渡すつもりだったものだ。」
「えっ!じゃあ俺たち一人前?」
「バカ!一人前になる前にシルドさんいなくなるから前渡しされたんでしょう。」
「僕たち、これを励みに頑張ります。」
「おう、頑張れ!」
「シルドさんはこれからどうされるんですか。」
「田舎へ帰ろうと思っている。そこで冒険者業を続けるか何か別の仕事を探すかはまだ決めていないが。」
「シルドさんの田舎ってどこですか?」
「ここから南へ馬車で2週間ほどの『二ーフ』って村だよ」
「シルドさん。行く機会があったら絶対に訪ねます。」
「俺も!」「私も!」
「ハハハ。ありがとうな。待ってるよ。けどな、それならそれまでは絶対死んじゃあ駄目だぞ。生きてるものが『勝者』だ。」
「「「はい!」」」
その後は荷物の片づけだ。
クラン暮らしだと、ほとんどのものはクランで賄ってもらえるので私物をまとめると背嚢一つに収まってしまう。
実際はこの背嚢すらいらないのだが…
盾は取り上げられたので明日にでも調達しなければな。
最後に、
「ムーシャさん。クラン証の返却だ。」
「シルドさん!辞めちゃうんですか?!」
「副リーダーからクビを言い渡されてね。」
「そんな。私、副リーダーに抗議してきます。」
「止めてくれ。そしたら君の立場が悪くなる。」
「そんな…」
「大丈夫だよ。田舎に帰ってのんびり暮らすよ。今までありがとう。」