2話 洗礼前の生活
俺の名はシルド=グロップ。
元はガード男爵の嫡男、シルディア=ガードだったがガード男爵領が洪水に見舞われ領が全滅。幸いにも死者は数名であったがその中に俺の両親も含まれていた。なんでも領民の子供を助けようとして溺れたらしい。
そして俺は孤児となった。
一応、貴族であったが新興貴族という事で親戚などはおらず、親交のあったグロップ神父に養子として引き取られ今に至っている。
貴族は貴族籍から外れる際には、名前を変更する必要があり『シルディア』⇒『シルド』となった。
引き取られた当初は、親の死を受け入れられず神父のいう事も聞かず荒れていた。
そんな中で出会ったのがレードだった。
レードも同じような境遇だったらしく荒れていて、しまいには取っ組み合いの喧嘩にまで発展した。
なぜか神父は喧嘩を止めず見守っていたな。
最後には疲れ果てて二人とも眠ってしまっていた。
そして夢を見た。
父が領民と一緒に麦刈りをしている夢だ。
「ちちうえはどうして、りょうしゅなのにりょうみんといっしょに、はたいているの?りょうしゅってえらいひとじゃないの」
「困っている人がいれば助けるのは当然の事じゃないか。それは領主、領民は関係ないよ。」
「そうなの?」
「誰かが困っていれば、そこに差し出す手があるのなら、助けてあげなさい。寂しい思いをしている者がいれば寄り添ってあげなさい。その分苦労はするだろうけど、その後、温かい気持ちになれるから。」
「よくわかんないけど…ボクもてつだうよ。」
ボクは刈った麦を持てるだけ持って倉庫に向かった。
「おーい、坊ちゃんも手伝ってくださるそうだ。」
「んなら負けてられないなぁ」
「俺たちもがんばんべぇ」
あの後、飲ませてもらったヤギの乳。おいしかったなぁ。
そうなのだ。僕が両親を亡くし寂しいが、それはレードも一緒だ。だからレードとは喧嘩ではなく仲良くするべきなんだ。
僕がレードに手を差し伸べれば、その分温かい気持ちになれるのだ。そしたらボクの寂しいのは少しは紛れるしレードの寂しさも少しは減るのだ。
目を開けると、目の前にレードの顔があった。
向こうも丁度目を覚ましたばかりの様だ。
また喧嘩が再開する前に先制だ
「さっきはゴメン。仲よくしよう。」
向こうはポカンとした顔をしたが、次に赤い顔になり
「私も…ムキになって…ごめんなさい。」
…なんかかわいいぞ。守ってあげたくなるような……そうなのだ。僕はお兄ちゃんなのだ。だからレードを守る事は当然なのだ。
そう思っていた時期もありました。




