12話 馬車塚でのお人よし生活
「旦那ー。薪を取って来やした。」
タッパーたちが帰ってきた。
「お帰り、タッパー。薪は新しく作った竈にくべて火をつけておいてくれ。余った薪は薪置き場へ」
塚に常備してある薪は自由に使っていいが、使った分は補充しておくのがマナーだ。余裕があれば多めに。
「おじちゃーん。持ってきたよ。」
野菜山積みの荷車を引いて、ちびっ子たちが帰ってきた。
「おじちゃん、これで足りる?」
「十分だよ。」
虫食いとか曲がったのとかはあるが、団員+パーティーメンバーなら十分な量だな。
「ありがとう。追加のお駄賃だ。」
「「「「やったー!」」」」
と飴玉をあげたが二人ほど食べずにポケットにしまった。
「食べないのかい?」
「……弟に食べさせてあげようと思って…」
「…ワタシの所は妹…」
いじましいじゃないか。だがちょっと待て。
「弟や妹はいくつだ。まだお母さんのオッパイ飲んでるのかい?」
「ボクの弟は2歳だよ」
「ワタシの所はまだオッパイ飲んでる。」
妹ちゃんはアウトだ。
「この飴は、赤ちゃんにあげるとおなかを壊す事があるんだ。今赤ちゃんはオッパイばかり飲んでるだろ。そんなところにこんな甘いものあげたらおなかがびっくりしてしまうよ。だからさっきの飴は君が食べなさい。」
「…はい…」
「それに…」
と取り出したのはリング状の小さな飴だ。
「あげた飴だと小さい子だとのどに詰まらせることがあるんだよ。これなら詰まってしまっても穴が開いてるからね息が止まる事はないよ。こっちを弟君にあげて、さっきの飴は君が食べなさい。」
「…うん、わかった。」
「そうだな、ちょっと待ってろ。」
調味液から肉をいくつか取り出し、綺麗な布で包みそれをバランに似た葉っぱで包み紐で巻いて、
「アクト。パンは焼けてるか?」
「はい、最初の分は焼けてます。」
「4つほど持ってきてくれ。」
「わかりました。」
持って来てもらったのは、棒に生地を巻き付けて焼かれた『野営パン』だ。
棒を外しそこに紐を通し、包んだ肉と一緒に子供一人ずつに渡してゆく。
「はい、肉とパンだ。今日はありがとさん。」
「こんなにしてもらって…いいの?」
「いいも何も、今日は特別だ。さあ、暗くなる前に帰って、家の人に肉を焼いてもらえ。そういえば自己紹介がまだだったな。俺の名はシルドという。君たちの名前は?」
「ありがとう。おじちゃん。ボクはラビト」
「ぼくは、ビトエ。おじちゃん、ありがとう。」」
「おじちゃん、ありがとう。ワーラっていうんだ。」
「ワタシ、シキイっていうの。おじちゃん。ワタシが大きくなったらけっこんしてあげるね。」
「ははは。そのころまだ独り身だったら考えてみるよ。さあ、早くしないと本当に日が暮れるよ。」
「うん、「「「バイバ~イ、おじちゃ~ん」」」」
「ラビト、ビトエ、ワーラ、シキイ。きおつけてな。」
「相変わらず旦那はお人よしですねえ。」
「そうか?」
「そうですよ。あの子達、今日1日で一月分かの稼ぎをしたことになりますよ。そんな大金持って帰っても親に取り上げられるだけじゃないですか。」
それが普通だが、あの子達なら取り上げられる前に差し出すと思うぞ。野菜自身は村の物なんだから、村長に言って稼ぎは村で折半だろう。
多分、ラビトっていう子は村長の息子じゃないかな。
「そうか…わかった。みんな~!タッパーは肉はいらないそうだ。」
「ちょちょちょちょっと旦那~、なんで?」
「『お人よし』はダメなんだろ。だったらタッパーには『お人よし』しないことにするよ。」
「旦那ぁ~(涙)」
「冗談だよ。今の俺は『お人よし』の『お節介』のおかげでここまでになれたんだ。だから今度は俺が『お人よし』になって『お節介』をする番だと思っている。タッパーも余裕があれば少しでいいから『お節介』をしてみるといい。」
「…わかりました。」
「さて、野菜も手に入ったし、料理の続きだ。手伝ってくれ。」
「了解です。旦那。」




