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1 元オリックスの中嶋選手の言葉
昔、あるプロ野球のキャッチャーが、こんな事を言った。
『迷ったらストレート』
ピッチャーというものは、どんなタイプにしても、
一番基本となるのはやはりストレートで、
どんな球を投げても打たれそうな絶体絶命の時は、
少々甘いコースに行っても、渾身のストレートを投げさせた方がいい。
と、いう風に俺はこの言葉を解釈していて、
これを基本に、今まで投手をリードしてきた。
しかし、今日の碇、正確に言うと、
この試合の六回途中からの碇に関しては、俺は次の考えで碇をリードした。
『迷わずにストレート』
碇本人がそう望んだとういう事もあるけど、
今日の碇は、本当にストレートだけでよかった。
他の球を投げる必要は、なかった。
六回裏のピンチを三者三振で切り抜けた碇は、
七回と八回も、全てストレートの三者三振でアウトを取った。
そして迎えた九回裏。
スコアは四対三で俺達張高が一点リードし、
この回もツーアウトをいずれも三球三振で取り、
残る最後のバッターも、ストレート二球でツーナッシングと追い込んだ。
ウチの勝利まで後一球。




