6 ヤンキーに絡まれる学生
張金高校へ行く途中には、『張金駅 』という駅と、
その周辺にちょっとしたアーケードの商店街があるんやけど、
そこに差し掛かった時、まだシャッターの閉まっている店の前で、
一人の男子学生が、もう一人のヤンキーっぽい奴に絡まれていた。
絡まれている生徒は、制服を見る限りでは恐らく同じ張高の生徒やった。
背がちっこくて目がクリッとしていて、
ぱっと見た感じ女子の様に見える。
性格も女子に近いんかして、身を縮めてしおらしく(・・・・・)ブルブルと震えていた。
一方そんな彼に絡んでいるヤンキーは、
グレイのブレザーを着て、
キンキンに脱色した肩までありそうな髪を真上に突き立て、
(ヘアスプレー何本使うんやろう? )
耳だけやなくて唇の所にもピアスをし、
眉毛をハリガネの様に細く剃り込み、
それでいて目つきも昭和のヤンキー漫画に出てくる悪役の様にイカツイ。
全くもって、ヤンキーにしか見えへん男やった。
やがてそのヤンキーは、絡んでいる男子生徒を路地裏の方へと引っ張って行った。
カツアゲでもするつもりやろうか?
本来ならば俺は、
こういうめんどくさそうな事には首を突っ込みたくない方なんやけど、
ヤンキーがカバンと一緒に持っていたある物が気になり、
俺は二人の後をつける事にした。
ちなみにそのある物とは、金属バットやった。
あの金髪野朗、何であんな物を?
喧嘩で使う為?
それとも、野球で使う為?
もしあいつが野球をやってる奴なら、
同じ野球選手として許されへんぞ。
そう考えたら、俺の中のスポーツマンシップ魂が燃え上がった。