5 張高ナインの守備位置
「どぉうりゃいっ!」
一回の裏、俺達張高ナインが守備に散る。
ライトに市長の息子の山下先輩。
センターにはセンターの中のセンター扇多阿太郎先輩。
レフトに向井先輩。
ショートはキャプテン。
サードはヒョロヒョロやけど根性のある手古山先輩。
セカンドには野球のスペシャリストの赤島先輩。
ファーストはヤ○ザ丸出しの千田先輩。
そしてキャッチャーはこの俺。
最後にピッチャー松山碇。
これが張高の守備陣。
正直言うて守備に関しては、ショートのキャプテン、
レフトの向井先輩以外は、穴やと言うても過言ではない。
多少のエラーは覚悟の上で、いかに失点を少なくするかが鍵や。
一番確実なのは、碇が本来の剛速球を投げてくれたら、
相手バッターは恐らくかすりもせんのやろうけど、
今、投球練習で碇の球を受けている限りでは、その剛速球には程遠いスピード。
やっぱり心のどこかで、全力投球する事を怖がっている様に見える。
まあでも、力を抑えて投げる分、コントロールはかなり安定しているので、
配球の組み立てはやり易いと思う。
碇の持ち球は、ストレート、カーブ、シュート、フォークの四種類。
これらの球種を組み合わせ、
いかに去年の大会ベスト8の矢沙暮打線を抑えるか。
俺の腕の見せ所やな。




