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ハリガネベイスボウラーズ!  作者: 椎家 友妻
第一話 ゼロからのプレーボール
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4 ヒロインの前ではグダグダ

 制服に着替えて(張高の男子の制服は黒の学ラン)

朝の支度を終えた俺は、時間にゆとりを持って家を出た。

すると門を出てすぐに、

 「あ、昌也君おはよ~」

 と、のんびりした柔らかい声が、俺を呼び止めた。

声の方に振り向くとそこに、やや茶色みのあるおさげ髪で、

少しタレながらもおっとりと愛らしい目をした、

紺のセーラー服を身にまとった女の子が立っていた。

その子の姿を見て俺は一瞬

「うっ」

と息を詰まらせ、その直後に心臓の鼓動が急激に早くなった。

そして顔がボッと熱くなり、赤らんでしまったのが自分でも分かった。

そう、この子こそが、俺の隣人にして幼なじみ、

そして初恋相手で今も片思い中の、小白井(こしらい)伊予(いよ)()なのや。

中学時代は部活の朝練とかで(ほとん)ど朝こうして会う事なんかなかったのに、

高校の登校初日から向こうの方から声をかけてきてくれるとは、

何と幸先(さいさき)のええスタートなんや!

 「ん?どうしたの昌也君? 」

 浮かれる俺を見て伊予美は首を(かし)げて言った。

いかんいかん、一人であっちの世界に行ってる場合とちゃう。

ここは至ってさりげなく挨拶をせんと。

 という訳で俺は、さりげなく伊予美に朝の挨拶をした。

 「お、お、はよ、う、小、白井、さん 」

 何処がさりげなくやねん!

と自分でも突っ込みたくなる程不自然な挨拶になってしもうた。

 あかん!

俺、予想以上に緊張してる!

中学時代に全国大会に出場した時でもこんなに緊張せんかったのに、

片思いとはこれ程までに緊張してしまうモンなんか!

と一人で(もだ)えていると、

そんな俺とは正反対のリラックスした笑顔で伊予美は、

 「何かロボットみたいな挨拶やなぁ。それに小白井さん(・・・・・)やなんて、

今更そんな他人行儀な呼び方されると、何か変な感じ 」

 「うっ………………… 」

 伊予美の言葉にたじろぐ俺。

そうなのや。

小学生の頃なんかは、俺は彼女のことを

『伊予美ちゃん』

と呼んでいた(心の中では思いっきり呼び捨てにしてるけど)。

そやけど何というか、すっかり年頃の女の子に育ってしまった彼女に、

しかも片思いの相手に、いくら昔そう呼んでいたとはいえ、

そんなに気安く……ねえ?

 「前みたいに、伊予美ちゃんでええよ? 」

 一人でモンモンと悩んでいると、

あっさりした口調で伊予美にそう言われた。

 「そ、そう?わ、わかった 」

 それに対してぎこちなく頷く俺。

う~む、この様子を見る限りでは、伊予美は俺の事、

これっぽっちも何とも思ってへんのやろうなぁ………。

 しかし、事の流れというか、

俺と伊予美はそのまま一緒に学校に行く事になった。



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