49/99
15 碇の好きな人
「なあ、答えてくれよ碇。僕、その為に東京からここに来たんだぜ?」
それがメインやったんかい。野球は二の次かいな。
「お前がいきなり大阪に引っ越したって聞いた時、
俺、どうしていいか分からなかった」
俺も今どうしたらええのか分かれへん。
「なあ、答えてくれ碇。お前は僕の事、どう思ってるんだ?」
少なくとも俺は葉瀬君の事をホモやと思ってる。
一方碇の奴は俯き加減で暫く黙り込んだ後、呟く様にこう言った。
「ゴメン、僕、葉瀬君の事は、そういう対象としては、見れないよ………」
その言葉に、葉瀬君は声を荒げた。
「何でだよ⁉」
一般的に考えると何でもクソもないと思うんやけど、
碇は大真面目にこう答えた。
「僕、実はこっちに来て、好きな人が出来たんだ…………」
好きな人が出来たらしい。
葉瀬君は露骨にうろたえた。
「そ、そうなのか⁉誰なんだよ⁉碇が好きになった男ってのは⁉」
女じゃないんすね。
やっぱり男なんすね。
それに対して碇は、
「そ、それは………………」
と言って、熱い視線をある方向に向けた。
そしてその視線の先には、
俺が、居た。




