表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハリガネベイスボウラーズ!  作者: 椎家 友妻
第二話 甲子園への道
23/99

7 図星を突かれる

 「野球はせぇへん、てか」

 その日の昼休みの部室。

机を挟んで俺の正面に座って弁当を食っていたキャプテンは、

午前中の俺と碇のやりとりを聞いて、そう呟いた。

 「はい、確かにそう言いました」

 頷く俺。

そして購買で買って来たヤキソバパンを頬張る。

 「う~ん、何でやろうねえ?」

 そう言って首を傾げたのは、キャプテンの隣に座っていた鹿島さん。

今この部室に居るのはこの三人だけ。

その鹿島さんに、キャプテンはトゲのある口調で言う。

 「ていうか、お前は何でまたここに来とんねん?」

 それに対して鹿島さん。

 「そりゃああんた、中学屈指のエースピッチャーやった子が、

この野球部に入部するかも知れへんねんで?

これは取材せんとあかんでしょ?新聞部として」

 ホンマは一人の女の子としてキャプテンに会いに来ただけなのでは?

とか思ったけど、それを言うとこの場がえらい事になりそうなのでやめた。

一方キャプテンは諦めた様に

「まあええわ」

と言い、俺の方に向き直って言った。

 「でも冷静に考えると、

何でそんな凄い選手がウチみたいな弱小野球部の高校に入ったんや?

彼を欲しがる高校は、他に何ぼでもあったやろうに」

 「ホンマですねえ」

 俺がシミジミ頷くと、目を細めながらキャプテンはこう続けた。

 「ていうか、この疑問はそのまま君にも当てはまるんやけど」

 「あ、俺ですか?いや、俺の事は気にせんといてください」

 「何なに?もしかして何か訳あり?」

 気まずそうにする俺に、鹿島さんが口を挟んでくる。

それに対して俺は両手を横に振って否定した。

 「いやいやいや、そんな大した理由はないですから」

 俺はそう言ったのに、鹿島さんはズバリこう言った。

 「ひょっとして、片思いの子がこの学校に入学してるとか?」

 「えぇっ⁉」

 そのあまりにストライクな指摘に、俺は露骨に取り乱した。

 「いやいやいや!あのですね!決してそんな事では!」

 「あーっ!図星や!キャハハハハ!」

 そんな俺の様子を見て無邪気な笑い声を上げる鹿島さん。

何処か穴があったら入りたい気分や………………。

そんな中、フォローする様にキャプテンが鹿島さんに言った。

 「別にそれが理由でもええやないか、そんなに冷やかしたんなって。

それより今問題なのは松山君や。

あれ程の逸材をほっとくのは宝の持ち腐れも(はなは)だしい。

しかもピッチャーで、

おまけにそんな彼の凄い球を受けられる凄いキャッチャーもここに()るんやし」

 「いやあ、でも正直な話、

俺はあいつが野球部に入るのは、あんまり嬉しくないんですよね」

 「ん?それは何でや?」

 俺のげんなりした物言いに目を丸くするキャプテン。

そのキャプテンに俺は、碇の正体を話しておく事にした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ