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ハリガネベイスボウラーズ!  作者: 椎家 友妻
第二話 甲子園への道
21/99

5 三人のスーパールーキー

 「うぉいっ⁉そんなあっさり教えてくれるんやったら、最初から教えてくれや!」

 散々鹿島さんにコケにされていたキャプテンは、そう言ってまた怒った。

 「で、その三人っていうのは、一体誰なの?」

 怒るキャプテンに構わず、向井先輩は続けて訊いた。

それに対して鹿島さん。

 「えーとね、三人のうちの一人はまだ詳しい情報を掴んでないんやけど、

もう一人の子は、大阪の皇賀(こうが)第二中学で正捕手やったらしいよ?

で、去年の全国大会では、ベスト8までいったみたい」

 「何やて⁉そんな凄いキャッチャーがウチの学校に入学したんか⁉」

 驚きの声を上げるキャプテン。

そんなキャプテンに、俺は至って素の口調で言った。

 「あ、それ、俺です」

 「へ?」

 今度は目を丸くするキャプテン。

他の先輩達も、驚いた顔で俺に注目した。

 「そ、それはホンマなんか正野君?」

 「はい。俺、去年、皇賀第二の正捕手で、全国に出ました」

 キャプテンの問い掛けに、俺はきっぱりと答えた。

すると向井先輩が続けて訊いてきた。

 「皇賀第二といえば、

大阪どころか近畿圏内でも五本の指に入る強豪じゃないか。

そんな学校で君はレギュラーだったのかい?」

 「はい、あと、四番を打ってました」

 『どええええっ⁉』

 俺の言葉に、そこにいた野球部員全員が驚きの声を上げた。

そして俺の周りを取り囲み、騒然となった。

 「スゲエッ!そんなスーパールーキーがウチの部に入ってくれたなんて!」

 「これでウチのチームも強豪の仲間入りや!」

 「甲子園出場もホンマに夢やないで!」

 俺の頭をバシバシ叩きながら、先輩達は口々にそう言った。

 いや、野球は一人だけええ選手が()っても勝たれへんのやけど。

ていうかあんまりバシバシ叩かれると痛い。

とりあえず俺はバシバシから逃れる為、鹿島さんに話しを振った。

 「あ、あの、それで、残るもう一人はどんな奴なんですか?」

 「フフフ、もう一人の子はもっと凄いで?」

 不敵な笑みを浮かべて鹿島さんは言った。

 俺よりもっと凄い奴?

それはこのチームにとってはええ事やけど、俺にとってはちと悔しいな。

そんな複雑な心境の中、鹿島さんは笑みを浮かべたまま続けた。

 「その子はね、東京の超強豪、(さくら)(あらし)中学のエースピッチャーで、

去年の全国では準優勝やってん」

 桜嵐。

確かに去年の準優勝校はそんな名前やったな。

そこのエースやった奴がどんな奴かは知らんけど、

何でそんな奴が大阪のこんな弱小校に入ったんや?

人の事言えんけど。

 とか思いながら、俺は鹿島さんに訊いた。

 「で、そいつは一体何ていう名前なんです?」

 すると鹿島さんはハッキリとした口調で、そいつの名を口にした。

 「松山碇」



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