2 入学先は弱小校
そして伊予美への片思いを糧に野球の猛特訓に明け暮れた俺は、
中学時代にレギュラーの座を掴んだ。
ただし野球の花形ともいえるポジションのピッチャーではなく、
どちらかと言うと縁の下の力持ち的なポジションのキャッチャーやけど。
しかしながら中学三年の夏には全国大会にも出場し、
俺が住む大阪府の中では、五本の指に入るキャッチャーと呼ばれた。
(と、俺は勝手に思っている)
そして迎えた高校一年の春。
俺は家の近所にある、府立張金高校という所に入学した。
この高校は、甲子園出場を毎年争う様な強豪校、
では残念ながらなく、創部以来練習試合を含めて一度も勝った事がない、
今は試合をする部員の数もぎりぎりの様な、超弱小校やった。
中学でそこそこ活躍した俺が何でそんな学校に入ったのかというと、
理由は簡単。
伊予美がその高校に入学したから。
例え俺が野球の強豪校に入学し、そこで甲子園出場を果たしたとしても、
伊予美が違う学校に通っていたのでは全く意味がない。
それやと伊予美を俺の居るチームのマネージャーとして、
甲子園に連れて行く事が出へん。
そして何より、伊予美と学校が別々になってしまうやないか。
俺は野球の強豪校へ行かれへん事より、
伊予美と離れ離れになってしまう方が嫌やったんや。
それに、例え俺がこれから入部する野球部が、
部員数もぎりぎりの弱小チームやとしても落ち込む事はない。
これからもっと部員も集めて、甲子園に出れる様に猛特訓すればええんやから。
俺の伊予美に対する想いは、そんなモンで折れる様なひ弱なモンとちゃう。
むしろ甲子園への道が険しければ険しい程、
俺の愛の炎も燃え上がるんや!
待っとれよ甲子園!
例え創部以来一勝もした事のない弱小チームでも、
死ぬ気で勝ち上がってお前のグランドの土を踏んだるからな!
そして伊予美のハートを何としても射止めるんや!
俺の片思いを賭けた闘いが、始まろうとしていた!