11 碇をおっぱらう方法
すると碇がしつこく、
「待ってよ~ 」
と言いながらついてくる。
「何でついてくるんじゃい⁉もう俺に付きまとうな! 」
「え~?一緒に帰ろうよぉ。正野君って、僕と帰る方向同じでしょ? 」
声を荒げる俺に、何ら怯む事なく碇は言う。
しつこいやっちゃなマッタク。
しかし俺はこのまま家に帰る訳ではないので、その事を碇に言った。
「俺は今から行く所があるんや。帰るんやったらお前一人で帰れ 」
「え?行くって何処へ? 」
「部活や 」
「え、正野君はもう何の部活に入るか決めてるの? 」
「正式に入部した訳やないけどな。今からそこに入部届けを持って行くんや 」
「何部に? 」
「野球部 」
あ、しもうた。
そんな事言うたら碇の奴も、
『それだったら、僕も野球部に入るよ! 』
とか言い出すんとちゃうか。
俺は自分の不用意な発言を後悔した。
が、碇は意外にもそうは言わず、
「野球、部……?」
と言って目を丸くした。
よく見ると、顔が強張っている様にも見える。
しかしそれを隠す様にニコッと笑い、
「へ、へぇ~、正野君って、野球をやってるんだぁ~。
じ、じゃあ僕は先に帰るね。また明日、学校で」
と言って、さっさと走って行ってしまった。
何やろうか?
俺が野球部やと言うた途端、えらい態度が変わりよったな。
もしかしてあいつ、野球が嫌いなんか?
そういえば今朝、野球部の不良に絡まれとったしな。
あいつにとって野球部の人間は、恐怖の対象になってるのかも知れん。
と、いう事は、これからあいつが俺に言い寄ってきた時は、
今から野球部に行くって言えばええんやろうか?




