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ハリガネベイスボウラーズ!  作者: 椎家 友妻
第一話 ゼロからのプレーボール
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10 意外と鍛えられた肉体

 「つ~かま~えたっ! 」

 そう言って碇は、まるで女の子が彼氏にやる様に、

俺に背後から抱きついてきた。

その瞬間、俺の全身にサムイボ(鳥肌の事 )が立ち、

 「何すんじゃい! 」

 という怒りの声と共に、俺は碇の手を振り払い、

その華奢(きゃしゃ)な体を突き飛ばした。

 「うわぁっ⁉ 」

 その衝撃で後ろへよろめく碇。

手加減なしで突き飛ばしたから、そのまま後ろへすっ転ぶかと思ったけど、

意外にも二、三歩よろめいただけで、転ぶ事なくその場に踏みとどまった。

 こいつ、見かけによらず下半身が強いな。

と、内心思っていると、胸元を右手でさすりながら、碇は言った。 

 「うぅ~、ひどいよ正野君 」

 「お前がいきなり後ろから抱きついてくるからやないか! 」

 「だからって、いきなり僕の胸を触るなんて……… 」

 「アホか⁉男のお前の胸なんか触って何が嬉しいねん⁉ 」

 「いくら恋人同士だからって、こんな所ではちょっと…………… 」

 「だ!れ!が!恋人じゃ⁉お前の胸が何ぼのモンじゃい! 」

 こいつのホモさ加減にブチ切れた俺は、

右手でこいつの左の乳首辺りを思い切りつねり上げてやった。

と、その時、こいつの胸板に、

これまた意外にもガッチリと筋肉がついている事に気づいた。

こいつ、こんな華奢な体で何て筋肉をしとるんや。

もしかして中学の時に、何かスポーツをやっとったんか?

とか考えながら、更に碇の乳首を強くつねり上げた。

すると、いくら鍛えとっても痛いモンは痛いので、

その例に漏れず、碇の奴も痛がった。

 「イタタタ!痛いよ正野君! 」

 しかし俺は構わず碇の乳首をつねり上げた。すると、

 「あ……あぁっ♡あ……あ……ガクッ♡ 」

 碇はク○バラカズオのように昇天した。

 「何でやねんアホ! 」

 つねっていた乳首を離して碇の頭をはたく俺。

もうホンマにカンベンしてくれ。

少なくともこれからの一年、

こいつと同じクラスっちゅうのは、あまりに嫌過ぎる………………。

 始まったばかりの高校生活に、いきなり大きな不安を感じていると、

碇の奴が俺にはたかれた頭をさすりながら言った。

 「激しい愛情表現だなぁ 」

 「ちゃうわい! 」

 これ以上このアホに付き()うてると頭がおかしくなりそうなので、

俺は再び校舎の廊下をさっさと歩き出した。



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