またまた女神様
「ここはどこ?」
アンナは暗い一室に閉じ込められている。
机の上にあるロウソクが1本灯り周りを照らしている。
「カーター、カーターはどこ?」
アンナは立ち上がり部屋の中を見渡すが、ロウソクが置かれていた机以外に何も見当たらない。
「アンナさん、大人しくおいた方がいいですぜ」
ふと、声がする。
「誰?」
声のするのは扉の向こう側からの様だ。
「女王様があんたの事をお待ちだ。呼ばれるまで大人しくしててもらわないとまた手荒な事をすることになっちまう」
「カーター、カーターはどこなの?」
アンナは声の忠告など関係なく、カーターの事を心配する。
「カーター? あぁ、あの一緒にいたやろうですか。奴なら今頃丘の上の森に埋められているでしょうよ」
それを聞くとアンナは床に泣き崩れた。
「あぁ、カーター、カーター、どうしてなのカーター」
宙を仰ぎ、祈りを捧げる。目には大粒の涙を流しながらカーターを想う。
「あぁ、女神様、どうかどうか、カーターを助けて下さい」
アンナは天上の窓から見える赤い月に祈りを捧げる。
するとアンナの耳元へ声が聞こえてきた。
「カーターを手助けすると、あなたはロウソクが尽きるまで部屋から出ることはできません。それでも良いですか?」
「えぇ、構わないわ。カーターを助けて下さい。お願いします」
アンナは空へと祈った。
果てしてカーターが助かったのかは分からないが、カーターが無事でありますように。アンナは震える手で何度も祈っていた。