蛇とゾンビ
「キャー!」
「どうしたんだ、アンナ」
「カーター、蛇よ」
アンナは藪から出てきた蛇に驚き、カーターに抱き着く。
「大丈夫だよ、アンナ。ただの蛇じゃないか」
「怖いわ、カーター」
「僕がすぐに追い払ってあげるよ」
カーターはナイフを右手に持ち、シッシッと蛇を追い払おうとする。
「シャー!」
蛇は威嚇姿勢を強める。
「ほら、あっちいけって、この、あ、くそぅ」
「キャー!」
アンナが悲鳴を上げた。
「どうしたんだい? アンナ、蛇は僕がこうやって……、って、うぉぉぉぉ」
カーターはアンナの方を見ると同時に顔が引きつり、叫び声をあげた。
「アンナ―!!」
「カーター!!」
アンナは今にもゾンビに襲われそうになっている。ゾンビのおぞましい手がアンナの前に迫ってくる。アンナは茫然として叫び声をあげるだけで、身動きを取ることができない。顔は恐ろしさのあまり口を開けたまま、叫び声を産む装置になってしまっている。
「アンナ―!!」
カーターが走り寄りアンナの腕を引き寄せようとする。
しかし一歩遅く、ゾンビはアンナの肩に噛みつき血潮が舞う。
カーターにはアンナの手だけが残っていた。
「ぎゃぁぁあああ!!」
アンナの叫び声が更に高く、遠くまでこだまする。
「ガッデム!」
カーターは悪態をつき、ゾンビに向っていく。
「アンナを離せ、このゾンビやろうめ」
カーターはゾンビにナイフを突き立てていくが、カーターもゾンビに噛まれてしまった。
「このやろう! ふざけるなぁぁー!! 汚い手でアンナに触るなーー!!」
アンナもカーターもゾンビに呑み込まれてしまった。