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女神様
アンナは手を組み、赤く染まった空に祈りを捧げる。
「女神様、どうか私たちを助けて下さい」
「オー、アンナ。僕が君の事を愛しすぎたせいで、こんな時間になってしまった。本当にすまないと思っている」
「いいえ、カーター、私もまったく気が付かなかったのよ、あなただけが悪いことはないわ」
アンナとカーターは小高い丘の上で二人、身を寄せて空に昇った月を見て怯えていた。
「あぁ、女神様。どうかお許しを、どうかアンナだけでも助けて下さい」
カーターは手を組み祈りを捧げる。
「なんてことを言うの、カーター、あなたも一緒じゃないと私、嫌よ」
アンナはカーターの頬を叩き、泣きじゃくる。
「アンナ、僕が間違っていたよ。一緒に家に帰ろう」
カーターとアンナは立ち上がり、家路へ急ぐ。
そこへ女神の声と共に空から何かが降りてきた。
「敬虔なわが子たちよ、あなたたちにチャンスを与えましょう。あなた方にそのナイフを与えましょう。それで運命を切り開くのです」
カーターは刃渡り15センチほどのナイフを手に取る。
「あぁ、女神様。ありがとうございます。さぁ、行こうアンナ」