始まり ~デビュー~
緑葉は枯葉に変わり落ち葉になる季節の、1891年、歴史にこれから動く瞬間がやってきた...
「ベル・マルクス帝王万歳!アンティヌス帝国万歳!」
アンティヌス王国は前国王が亡くなり、後継者がいなかったため平和であった、王権政治が崩壊。党選挙でベル・マルクス率いるダーグレン党が今までの政権に対しての落ち度を的確に指摘、改定案も的確で、他の候補者と比べ物にならない票数で圧勝。その後、マルクスはアンティヌス王国を帝国と名乗り、自身を帝王と名乗った。国民を短期間にして戦争に対しての士気を挙げ、マルクスの本来の目的、戦争を行うのに邪魔なクーデターなどを起こさぬ様にするための意識操作に成功。
桜が満開に咲き誇る季節の、1892年、マルクスは帝国拡大計画を立案、その後即成立。その一ヵ月後、オルティオル自由国に宣戦布告。ここから恐ろしい歴史は始まった。
そこから20日後、ガイラ連邦は、アンティヌス帝国とカッツァオ条約(どちらかが宣戦布告した場合その日から20日間、その国に宣戦布告し共闘する条約)を結んでいたため、ガイラ連邦はオルティオル自由国に宣戦布告。
宣戦布告されたオルティオル自由国は、世界連合に加盟していたため、アリエア合衆国、ルーテル共和国、レイニア共和国が帝国側に宣戦布告を行った。
その戦争は拡大していき、都市国家なども巻き込んだ。
人々はこの戦争を「フスティーシア・デ・ゲラー(正義の戦)」と呼ぶ。
その戦争に巻き込まれた国があった、それは中世時代の120年戦争に「知恵の英雄」がいたとされている民族国家であるスライン王国だ。しかしその国は、衰退しいき今は小国家と化した。この王国は一切の宣戦布告を認めない特権「永久非交戦権」を持っていたため、「この国は平和だ。」と、世界から注目されていた。かつ、特に目立った資源が無い国だったため、戦争の関与もないだろうと推測されていたのであった。
が、1891年、アンティヌス帝国は戦車という概念を発展させ、二足歩行でありとあらゆる地形にも屈することのない、「Ⅰv号独立型戦車」を開発。そのは従来の石油では動かなかった。試行錯誤した結果、たまたま使い道が無かった「ヴァルタ鉱石」を使用した。すると本来以上の機能が作動した、アンティヌス帝国はすぐに採掘先を割り出した。そこが...スライン王国であった...
◇ ◇ ◇
快晴の空の下、今日は、スライン王国軍第3師団司令部前で毎年恒例の任命式が始まるようだ。
「こんな日が任命式だなんて、運がいいな!」
「ほんとだわ!私なんて、土砂降りの最悪な日に強行されたわ!」
と、急に静まり返った。軍服姿の男が壇上に上がった。ここの、司令官のようだ。
次に壇上に上がったのは青年と少女だった。主役の登場だ。これから任命式が始まるようだ。
司会が話し始めた。
「これより、王国軍任命式を始める!まず始めにここ第3師団団長 カンテ・エリック中将から新人へお言葉をいただく!全体!敬礼!」
「おはよう、第3師団の諸君。今回の入隊者は2名である。人手不足の王国軍としては嬉しいことだ。しかしここは防衛基地。遊びなどの感覚では、入ってはならない区域だ。それを承知の上であるな新人2名?」
そういうと、2人は縦に頷いた。
「それはよかった。話は以上だ。今後の活躍に期待しよう。」
そういうとエリックは司会に視線を向けた。
「以上だそうだ。全体!敬礼!」
司会は続けた。
「新人2名!入隊宣言を行え!」
「はい!」
返事をすると、2人は腰にあった剣を抜き、空へ掲げた。
「我ら、オードラン・ルイ、シャロー・アリスは王国軍に入隊することを宣言します!」
そういい、剣をしまった。そして、拍手が響く。
「以上で任命式を終わる。尚、この2人は兵長に任命。配属は、第3師団第3小隊だ。全員!敬礼!」
こうして、ルイとアリスは、王国軍に入隊したのだった。
それが、桜が満開に咲く季節の、1892年であった...
この後、短期間で世界大戦が起こるなんて、誰も予測できなかった。