管理施設にて
都内某所。ある施設に『CROW』メンバーの姿があった。
この施設は表向き、水道局施設となっているが、実際は要人保護の施設として使われている。
今現在は人払いが行われ無人だ。二、三日で施設内の『片付け』を済ませ、布津達にお鉢が回ってきたと言う訳だ。もちろんその間にも警備の人材もいたのだろうが…。よく襲われなかったものだ。
前述したが、布津達以外は誰もいない。正に迎撃体制は整っている訳だ。
「何だよ~。結局俺達だけでやるのかよ」
皇が愚痴る。
「大方予算でも足らんのだろう」
布津がニヤリと笑う。
「はぁ~。どうなんでしょうかね…」
月野が肩を落とす。
「任務は任務だ。まず管制室へ行くぞ。そこなら監視カメラもある」
布津は言いながら施設の扉を開けると、ツカツカと歩いていった。遅れて二人も後を追う。
管制室へ入る。幸運な事に、ここへ来るまで敵には出くわす事無く済んだ。布津はモニターを睨む。……今の所動きは無い。
「見当たらんか…皇」
「おう」
「索敵するぞ。俺は東から回る。そっちは西側から頼む。月野はここで待機だ」
手早く指示を出す。その時皇から声が挙がった。
「裏葉ちゃん一人残してくのかよ?大丈夫かなぁ?」
月野は笑うと言った。
「大丈夫ですって!それにここならいざとなれば籠城もできますし。あ、あとそれから…」
月野が不意にバックパックを漁り始める。
「…あった。二人共これを使って下さい」
月野が取り出したのは無線機だった。
「私がこれで監視しながらサポートします。何かあったら連絡しますので」
「分かった」
布津がうなずく。皇は少し逡巡してから、
「…分かったよ。何かあったらすぐ連絡くれよな」
「はい!分かりました!」
月野が大仰に敬礼してみせる。
「…行くぞ」
布津が扉を開けた。皇が後に続く。