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『TLS 第二話』  作者: 黒田純能介
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リベンジャー


都内から外れたネオン街。その一角の事務所に、柊の姿があった。


コツ、コツ…


廊下を歩く足音が聞こえる。足音は事務所の前で止まった。


コンコン。


ドアがノックされる。


「どうぞ。入って下さい」


ドアの向こうの人物に呼び掛ける。


ガチャ。ギィィィ…。


鉄扉を開けて入ってきた人物を出迎える。それは柊の良く知っている人物。


「お久し振りです。柊さん」


入ってきたのは、笠原と言う男。数年前の任務で自分の部下になった男だ。だが着任早々の任務に失敗し、古巣に戻っていたのである。


「やぁ。久し振りだね。笠原君。今度は宜しく頼むよ」


やや言葉に棘を含む。と同時に射る様な視線を向ける。


「その節は申し訳ありませんでした。次はありません」


言葉はややへりくだった言い方だが、様子は全くふてぶてしい。


…やはり使い難い男だ。心の中で舌打ちをする。まぁ良い。次はわざわざ切り札の一つを使わせてやるのだ。結果を出せなければ、末路は決する。


柊は満面の笑みを湛えて言う。


「ハッハッ。まあ過去の事だ。綺麗さっぱり…とは言えないが、頑張ってくれたまえ」


「はい、了解しました。……所で今回の任務とは?」


笠原の問いに柊が答える。


「ああ。現在我々が主に闘っている組織なのだが…。そこの拠点の一つを制圧して欲しい」


「拠点制圧…ですか」


訝しげな顔をする笠原に柊が言葉を付け加える。


「もちろん君一人でやれとは言わない。『あれ』を使ってくれて構わないよ。それに、現地にはさほど戦力は無い様だからね」


「………分かりました。全力を尽くします。それでは早速」


笠原が立ち上がる。柊がその姿に声を掛けた。


「『あれ』の調整は終わっている。後は壊さないように気を付けてくれ。…もっとも、壊れるかどうかも分からないけどね」


柊は不敵な笑みで締めくくる。


笠原は分かりました、と一言だけ言い残すと、ドアを開け去っていった。再び一人になる柊。


「…やれやれ」


独り言を残し、柊は立ち上がった。




カン、カン、カン…


靴底が鉄の階段を叩く。笠原は煙草を咥えながら呟いた。


「だーりぃ。ま、アイツが使えるなら少しはサボれるか」


煙草に火を着けると、笠原はネオン街へと消えていった…。


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