伝令
「来たか…」
布津が苦い顔をして、届いた伝令を放り出す。
「はぁ~」
「そうですねぇ…」
皇、月野の二人も表情を曇らせる。
今回の任務は、『CROW』の拠点の一つに敵の襲撃が予想されている為、その迎撃についてくれ、というモノだった。
「仕方あるまい。さっさと用意するぞ」
布津は立ち上がると、倉庫へと向かう。
後に残された皇もグローブを取り出す。
「裏葉ちゃん?」
いきなり肩のサバイバルナイフを抜いた月野を見て皇が言う。
「今度の任務には私も参加します。いつもお二人に任せっきりですから」
「いや危ないって。死ぬかもしれないんだよ??」
月野はニコリとすると、
「大丈夫です。訓練は受けてますし、私だってチームの一員ですから」
皇の目を見てそう言った。
「ん~…じゃあ俺が絶えず守ってあげるからね」
「その時は真っ先に皇さんを滅多刺しにしますからね」
皇は笑顔のまま凍りついたのだった…。
チャキッ。
鍔が鳴る。布津の刀である。
「また、血に染まるが…。済まない。黒鴉」
布津は愛刀の名を呟くと、そっと抜き放った。
刀の重みが伝わってくる。その重さは想いでもあった。
…フッ。
布津は哀しげな笑みを浮かべると、刀の手入れを始めた。