終わらぬ悪夢
都心部。数多く並ぶビル群の中の一つ。
その最上階の一室に、一人の人物が佇んでいた。
コンコン。ドアがノックされ、秘書らしき女性が姿を現す。
「柊 祐馬が到着しました」
「通せ」
窓際に佇む人物は、くぐもった声で答えた。
少し間があり、柊が姿を現す。
「失礼します…」
「柊」
窓際の人物は振り返る事なくその名を呼ぶ。
「はっ…はい」
緊張が嫌という程伝わる。
「今回の失態、どう責任を取る?」
抑揚の無い、男性とも女性ともつかない声と共に振り返った顔には、真っ白な仮面。口も、鼻も無い。これで目の部分も無ければのっぺらぼうだ。
柊がガタガタと震え始める。
「三体目を破壊され、部下も一人失い、任務失敗。無能とは思わんか?」
仮面の人物が、懐に手を忍ばせる。取り出したのは、大型の回転式拳銃。よく西部劇で見掛けるような銃だが、威力は桁違いの代物である。
「あ……あ…」
最早柊は声にならなくなっていた。
「無能な者は私の組織には要らない……」
ゆっくりと、銃口を柊に照準する。
「この役立たずが!」
ドゴオンッ!!
まるで大砲の様な轟音と共に、仮面の人物の銃が火を噴いた。
数分後。椅子に座る仮面の人物だけが、部屋に取り残された様に下界を見下ろしていた。
振り返ると、デスクの上にあるPCを起動し、ログイン。
多数あるファイルの中から一つを選択し、開く。文字が写し出された。
『強化兵プロジェクト』
画面にはそう表示されていた。更にファイルを開く。NO.6と表示されているファイルの上でカーソルが止まる。
カチカチ…カタカタカタ。
パスワードを入力。画像が表示される。そこには―――
かつて一条が入っていた物と同じ、カプセルに入っている、
布津の姿だった……。
仮面の人物はモニターを眺めながら呟く。
「布津……いや。六体目よ。お前は必ず私の所へ戻ってくる。何故なら、お前は私の作った、」
「『強化兵』なのだから……」
― 第二話 完 ―




