任務完了
「今回の任務は成功。でも…布津が大怪我しちまった」
布津達のアジトにて、皇がテープレコーダーに結果報告を録音していた。
布津の姿は無い。先の闘いで左胸骨骨折、内臓損傷の重傷を負い、入院中である。
皇の声が続く。
「館内に侵入した敵は、恐らく3名から4名。内一人を捕縛…」
皇の報告はしばらく続いていた。
都内北部。そこにある病院に布津の姿があった。
「………ぬ」
布津が薄く目を開ける。
「…あっ」
隣りで声がした。
「気が付かれましたか!」
ぼんやりと首を巡らせる。そこにいたのは月野だった。
「月野か…。もう少し寝かせろ」
途端に月野が吹き出す。
「アッハハ。そんな軽口叩ければ大丈夫そうですね。良かったです」
月野はまた、フフ。と笑う。
「………。任務は、どうなった?」
「完了です。敵は撃退しましたよ!皇さんが上手くやってくれたみたいです!」
「そうか…俺が闘っていたヤツはどうした?」
その言葉を聞いた途端、月野の表情が曇る。
「それが……」
月野はその後の事を話始めた。
皇が駆け付けた時には、既に一条の姿は無かった事。捕縛した男についても、回収に戻った所、何者かによって既に射殺されていた。
…結局、相手の事についてはほとんど分からずじまいであった。只一人、布津を除いては…。
隣りで月野が喋っている内容など、もう既にどうでも良かった。
……ヤツは確かに倒した……。だが、そうなると……。
「どうしたんです?大丈夫ですか?」
不意に顔を覗き込んできた月野に思考を中断される。
「あ?………あぁ、何でもない。それより何か買ってきてくれないか?流石に腹が減った」
月野の顔がパッと明るくなる。
「はいッ!何が良いですか!?ケーキですかっ!?」
「秋刀魚の干物」
月野の笑顔が引きつった笑いに変わる。
「あ……ハイ……行ってきますぅ……」
月野がすごすごと出ていった。
「………?」
こういう場合は好きな食べ物を頼むんじゃ無いのか?と思いつつ。
……ふと、窓の外に目をやった。葉の落ちた木々をぼんやりと眺める。
……また、生き延びたか……。この呪われた力と共に。
布津は一人、思考を巡らせるのだった。




