暗躍
「うりゃっ」
3階のとある一室。皇が手足を拘束した笠原を部屋に放り込む。
「まだ気絶してんな…よし!」
皇が無線で月野を呼び出す。
「裏葉ちゃん、こっちは捕まえた!布津の様子分かる?」
…少し遅れて、声が聞こえた。
『ザザッ……ダメです!丁度カメラが故障してしまっているみたいで…』
「分かった。急いで戻るっ!」
皇は布津の元へ向かう為、部屋を飛び出していった……。
―――一方、倒れた布津は……。
カツン。一つの足音。布津と一条は倒れたままだ。
やがて、人影が姿を現す。
「あーあ。壊れちゃったのね」
気の無い台詞を口にしながら現れたのは、鳴神だった。
「あの強化骨格はそうそう斬り裂けないのに。残念」
鳴神はそう呟くと、パチンッ、と指を鳴らした。その音を契機に、二人の男が姿を現す。
「NO.3を回収なさい。頼むわよ」
命令を受け、二人の男が一条を担ぎ上げる。そのまま、再び闇へと消えていった。
カツン。鳴神が踵を返す。ふと、倒れたままの布津に一瞥をくれる。
「今回の任務には、あなたの事は含まれていないわ。良かったわね」
視線を反らすと、歩き出す。
「また逢いましょう。それまで、生きていてね。…フフ」
鳴神は含み笑いを残すと、自身も闇へと消えていった…。
その数分後。現れた人影。皇だった。
皇は倒れている布津を見つけると駆け寄る。
「お、おいっ!しっかりしろ!!……まだ息はある…!急げばまだ間に合う!」
皇は布津を担ぐと、管制室へと急ぐのだった…。