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悪夢
暗闇の中、声が響く。
「……こちらです。試作段階ですが、調整は終わっています。」
『うむ……これが、《アレ》か。テストはどうだ?』
「はい。十分な結果を残しています。まだまだ改良の余地はありますが…」
『そうか。実戦テストはできるのか?』
「…短時間なら可能です」
『……そうか。では、任せる。見せて貰おうか』
「…かしこまりました。では、起動させます」
キィィィィン…
耳鳴りがする………
「…………ハッ!」
ガバッと起き上がる。周囲を確認するが、何も無い。いつもの事務所だ。汗を拭う。
「……夢、か…」
布津は呟くといつものソファから身を起こす。
いつの間にか朝になっていた。相方の姿は無い。
ふと、窓の外に目をやる。木々には枯れ葉が目立ち始めていた。
また冬がやってくる。