水滴
ねぇ
こうやって
グラスに伝う水滴を見つめ
焦点を合わせれば
ぼやけていく白い壁紙
はりつめた滴の
ゆるゆるとするすると
滑るあと
何ともなしに時は流れて
それでいて永遠めいてる
見つめている
貫かない透明
深く眠るような
でもどこか冴えた心地で
遮断された世界と
ただ見つめつづける
それだけを目的として
生きているように
その馬鹿馬鹿しさは
馴染み深いもので
わたしを苦しめることなく
通りすぎて行くけれど
皮膚と皮膚の静かな触れあい
シルエットの眠る部屋で
息遣いにだけ
すべてを研ぎ澄ませれば
ねぇ
いつの間にか
あの伝う水滴を思い出してる