7. きみへの答え
宿題の回答は。の巻
ランス視点です。
俺はアレンのところからまっすぐに花屋に向かった。
そこで花束を作ってもらっている最中に、俺はオーガスタとのやりとりを思い出していた・・・・。
今から10年前、俺はウェルズ商会のパーティーに来たものの退屈していた。
来ているはずのアレンを探そうかとも思ったけど、あまりに人が多いため適当に知り合いに挨拶したり、美女と踊ったあとは一人で庭に出てぼんやりしていたのである。
そのとき「ランス?」と声をかけられた。
振り向くと、そこには最近全然顔を合わせない幼なじみのオーガスタが薄紫色のドレスを着て立っていたのだ。
「オーガスタ、どうしてここにいる。今日の主役だろ?」
「今日は創業200年祝いでお父様とお母様だけいればいいもの。・・・あの、ランス。このドレス、どう?」
そういうと、オーガスタは俺の前でドレスのすそをひろげた。
俺のほうはというと「んー、悪くないんじゃないか?」くらいしか言えなかった。15の男が「似合うよ」なんてさらっと言えるわけがない。
「そう。やっぱり、大人っぽくならないと似合わないのかなあ。お父様やお母様は似合うって褒めてくれたんだけど」
「そうだな~。あと10年もたてば似合うんじゃないのか?」
「10年・・・・24歳かあ・・・・私、10年後何してるかなあ」
「ウェルズ商会で働いているんじゃないか?」
「そうだといいけど。恋人とかもできてるかも」
「そうだな。俺が彼女を連れてウェルズ商会の常連になってたりして」
「そ、そうね。」
「でも、もし10年たっても俺とオーガスタに恋人がいなかったら俺が申し込んでやるよ」
「・・・・・じゃあ、そのときは私の好きな紫色の花を花束にして申し込んでよね。そしたら考えてあげるわ」
ウェルズ商会のドアを開けると、オーガスタが店内で仕事をしていた。
「ランス、どうしたの?もうお店は終わったんだけど」オーガスタが驚いている。
「従業員はいないのかい?」
「もう皆帰ったわ。私はちょっとだけ残業。」
「そっか」
「どうしたの?そんなに息切らしちゃって。お茶でも飲んでいく?」
そういうと、オーガスタは店の奥へ行こうとした。
「ちょっと待った。オーガスタ」そういうと、俺は紫色の花束をオーガスタに差し出した。
オーガスタは、その花を見て目を見開いた。そして、「ランス、思い出したの?」と言うと花束を受け取った。
「・・・・ついさっき思い出した。ごめんな、オーガスタ。今まで忘れてて」
「思い出したんだもの。許してあげる」
「食事、一緒にしてくれるよね」
「ええ。いいわよ。」
にっこりと笑ったオーガスタは本当にきれいで、結婚を前提とした交際を申し込んだら今度こそ承知をしてくれるんじゃないだろうか・・・俺は早くもそんな期待をしてしまっていた。
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おお、少し恋愛小説ぽい回になりました。
ジャンル:恋愛なんですけどね・・・・第一部は薄いです。