5.庭でのできごと
アレンとランス、言葉に詰まる。の巻
デルレイが魔法の練習をはじめて1ヵ月がたった。珍しくランスが邪魔しに来なかったため、兄と計画したとおりに予定がさくさく進む。
「さて、デルレイ。昨日までのおさらいをしよう。風の魔法を使ってみようか」
「はいっ」
デルレイは、勢い良く返事をすると教えたとおりの手順で手のひらからそよ風をだした。デルレイの出した風が立てておいた小さい風車をまわす。
「そよ風は覚えたな。よく覚えたなデルレイ。偉いぞ。」
「はいっ」
「よし、じゃあ今日はもうちょっと強い風にしてみようか・・・」と俺が見本を見せようとしたときに
「よーっ!!アレン、元気か?デルレイ、勉強してるか?」とランスが庭に入ってきた。
「あ、ランスだ!!」
「デルレイ。今見本をみせるから、ちゃんと見ているように」俺は強風をランスに向けて投げつけた。
「なっ・・・おまえ、それが親友に対する態度かーっ!!」ランスは最初はいきなり風がきて驚いたものの、あっさり防御の魔法を張り、強風をつぶしやがった。
「なんだ。飛ばしてやろうかと思ったのに、あっさり防御してしまったか・・・・勉強中だ。邪魔するな」俺はランスのわめきを無視。
デルレイも俺の真似をしてランスを無視している。
「おじうえ、さっきのかぜ、すごーいっ。わらしもだせるようになるかな」
「大丈夫だ。ランスに邪魔されなければ覚えられるよ」
「そこの二人!!俺を無視するのかよ!!」
俺はため息をついて、ランスに向き直った。「30分後に休憩だ。そのときでよければ話を聞く」
ランスはそれを聞くと「りょーかーい」といって、おとなしく俺とデルレイの授業を見ていた。
30分後。休憩時間になると、ヴェラが庭でお茶を飲めるように用意してくれていた。
ランスは「昼間だししょうがねーか」とお茶を飲んでいる。
「ここのところ顔を見せなかったな。」隣でケーキをほおばるデルレイを確認したところで親友を見る。
「聞いてくれよ。俺はオーガスタをデートに誘うことに成功したんだ!!」満面の笑みのランス。
「おじうえ、でえとってなに?」
いつの間にかケーキを食べ終わったデルレイが、口の端にケーキのかすをつけたまま俺を見る。
俺は、デルレイの口についてるかすを取ってやり「デートというのはな、お互いのことを好きな男の人と女の人が二人だけで出かけることをいう。父上と母上が一緒に出かけるのもデートだな」
「ふうん。おじうえはしないの?」
「・・・・・そうだなあ、俺は・・・・」デルレイの質問に思わず言葉が詰まってしまう。
それを見ていたランスが「デルレイ。おじうえはな、女性にもてないからデートの相手がいないんだよ」と言い出した。俺を見てニヤリとしたのは、さっきの仕返しをしたつもりらしい。
「おじうえはランスよりかっこいいのにどうして?」この返答に今度はランスが言葉に詰まった。
「デルレイが素直に育ってくれて俺は嬉しいよ」俺はデルレイの頭をなでる。
「なんか、デルレイがお前みたいになりそうで心配だよ。よくクロスビー様がお前を家庭教師に指名したよなあ」
ランスはそういうと、菓子をつまんだ。
その後、なぜかランスは俺たちの授業に加わり結局最後まで付き合った。デルレイも少し強い風が出せるようになり、順調に習得している。
できれば、デルレイに基礎を全て教えるまで伯父が引き継ぎに来なければいいのだが・・・と俺は心の片隅で思ってしまう。
授業を終えた頃、義姉がデルレイを迎えにきて庭には俺とランスだけになったがランスは帰る気配がない。
どうやら、授業を邪魔しに来ただけじゃなさそうだ。
「アレン、オーガスタから宿題を出されてしまった。」ランスが珍しく困惑していた。
読了ありがとうございました。
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オーガスタの宿題ってなんなのか。
ご都合主義なので、深く考えないでくださいね。