20.それからの私たち
二人と周囲の人たちの未来。の巻
アレンさんにプロポーズされてから、しばらく互いに忙しくて顔を合わせる機会がなく返事をしそびれてしまった。
ようやく二人で会えたとき、私はアレンさんとの結婚にうなずいた。
アレンさんに「ありがとう。本当はもっと場所とか言葉とか考えていたんだけど、リコの幸せだって言葉にうれしくなってしまったんだ。今からプロポーズをやり直すよ」と言われ、今度はひざまずいてプロポーズされてしまった。
うーん・・・・うれしいけど、恥ずかしい・・・・。
それからはとんとん拍子で話が進んで、私たちは1年後に式を挙げた。身内だけでこじんまりとした式をして、衣装はアレンさんたっての希望で和装。ただ、アレンさんに会う袴を探すのは大変だった。スタイルがいいのも困ることがあるんだな。
私は、会社をやめてアレンさんの仕事を手伝うことにした。手伝うといっても、実際に調査をしたりするのではなく家事の合間に資料を整理したり、書類を作成したり・・・要は会社でやっていたことと変わらない。
工藤くんと麻子は私が身内だけの式を挙げると決めたことに「水くさい」って文句を言ったけど、そのぶん盛大な送別会を開いてくれた。
小池くんの酒癖は改善されたみたいで、相変わらず顔は赤いけど絡むことはなく爽やかな小池くんだった。
「会社を辞めなくてもよかったんだよ」とアレンさんは言うけど、長期出張の多いアレンさんをなるべくサポートしていきたいと考えたことだから、というとアレンさんは、そういうことならと嬉しそうに笑った。
その後、麻子も結婚して寿退社をした。相手は合コンで知り合ってずっと付き合ってきた人だった。相手が海外転勤することになり、麻子は「理子みたいに私も彼を支えたいって思っちゃってさあ~。英語も習ってんだけど、まだあんまりしゃべれないのよね~。でも何とかなるでしょ」などと笑いながら旅立っていった。
長らく独身だった兄も、仕事関係(不動産屋のほうだ)で紹介された女性と結婚した。義姉となったその人は、明るいしっかり者で私たちはすぐに仲良くなった。兄はその後二人の子持ちになって、相変わらず父と二人で不動産屋とアレンさんの仕事の窓口を兼業している。
王国にも何度か遊びに行っている。デルレイくんは、口調がお兄さんに似てきた。私の予測どおり、ハンサムな男の子に順調に成長しているため相当にもてているはずだ。本人は「今はまだ女性にかまけている暇はありませんから」なんて言ってるけど、彼が恋に落ちるとどうなるのかしら。どんな相手と恋に落ちるのかしら・・・とーっても見てみたい!
そして、私とアレンさんは・・・・子供はいないけど二人で楽しく生活している。「アレン」と呼ぶと「なんだい?リコ」と出会った頃と変わらない穏やかな声で返事をしてくれるのだ。
読了ありがとうございました。
誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。
ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!
次回、あと1話で本編完結になります。