18.異世界で一泊二日-王国編:1-
お久しぶりの人たち。の巻
アレンさんの親友はランスさんといって砂色の髪の毛にとび色の瞳をしたこれまたハンサムな男の人。だけど、性格はかなりお茶目というか・・・アレンさんとは対照的。アレンさんとは幼馴染らしくて、隣のアレンさんが苦い顔をしているのをスルーして、私に自分たちのした騒動を面白おかしく話してくれた。
「ランス。もうすぐパーティーだろ?さっさと帰れよ」
「なんだよ~。久しぶりの再会なのにこの仕打ち。リコちゃん、あんまりだと思わない?」
「でも、今日が結婚パーティなんですよね」
「そう。でもさー。男なんて奥さんと違って準備に時間かからないしさあ。」
「ランス・・・オーガスタにお前がここで油売ってるって教えてやろうか」
ランスさんが結婚するのは、これまたアレンさんの幼馴染であるオーガスタさんだ。幼馴染同士の恋愛かあ・・・なんかキュンとする~。
オーガスタさんの名前をだされると、ランスさんが「うっ」と言ったきり黙ってしまった。
「・・・わかった。会場で会おうな。あ、リコちゃん。オーガスタがきみに会うのを楽しみにしていたよ。じゃあな、アレン」そういうと、ランスさんは移動魔法で消えた。
「アレンさん。ランスさんて、もしかしてオーガスタさんに弱いの?」
「もしかしてじゃなくて、あいつの最大の弱みだ。リコもランスになんか言われたらオーガスタの名前を出すといい」
「私、アレンさんとランスさんの起こした騒動の話、楽しかったよ。」
「そっか。リコが楽しかったなら、しょうがないな・・・」とアレンさんが言いつつ、顔を私に近づけてきたときに「おじうえ~!!」という元気な声がドアを開けて入ってきた。
アレンさんはしぶしぶ私から顔を離した。
「デルレイ。入るときはノックをするものだ・・・リコ、よく来たね。アレン、お帰り。」男の子と一緒にお兄さんが居間に入ってきた。
な、なんか男の子とお兄さん・・・・激似なんですけどっ!もう外見からして「親子です」ってまるわかりなんですけどっ!
「リコさん、これは私の息子でデルレイといいます。デルレイ、アレンの婚約者のリコさんだ。挨拶しなさい」
「こんにちは、デルレイ・クロスビーです。7さいです。」そういってペコリと頭を下げるデルレイくん。アレンさんやお兄さんと同じシルバーグレーの髪の毛で、瞳の色はコバルトブルー。
「こんにちは。リコ・オノヅカです。私のブリードン語、わかるかしら。今、アレンさんに教わっているの」
「わかります。おじうえはおしえるのがじょうずなのです」
「そう。よかった。」私が笑うと、デルレイくんも笑ってくれた。うわー、かわいいっ。アレンさんも小さい頃こうだったのかしら・・・。そのうち写真とかあったら見せてもらえるかなあ。
デルレイくんはまだアレンさんと話したそうだったけど、お兄さんに連れられて部屋に戻っていった。
「デルレイくん、お兄さんとそっくりだね。アレンさんにも似てるかな」
「俺にも似てるかなあ。でも、俺がそばにいない分ランスの影響を受けそうで心配なんだ」
その顔があまりにも真剣なので、私は思わず笑ってしまった。
「そこ笑うところ?」
「だって。ランスさんはアレンさんの親友でしょう。確かにちょっとお茶目なところはあるけど、いい人じゃない」
「リコ・・・すでにランスに洗脳されちゃったのか・・・嘆かわしい」
「はあ?」
「ま、普段は俺がそばにいるから大丈夫だよ。さあ、リコも部屋まで送るから準備しておいで。準備できたらそのペンダントから俺に呼びかけてくれる?迎えにいくから」
パーティーが始まる時間が迫ってきていた・・・・・ああ、緊張するなあ。どうか、グラスの中味をこぼしたり、人にぶつかったりしませんように。うっかり足踏んじゃったりしませんように。
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デルレイ、少し成長してます。