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きみに会うまでの時間、会ってからの時間  作者: 春隣 豆吉
第一部:アレン・クロスビーは待機中
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1.宙ぶらりんの魔道士

アレン、家庭教師になる。の巻

 俺はアレン・クロスビー。魔道士の家系であるクロスビー家の次男だ。現在25歳で、大学で魔道士としての勉強を修めたのだが王宮に就職をしなかった。というのも、俺は既に就職先というか将来が決まっているからだ。

 俺の将来は「扉の管理者」。小さい頃から言われ続けてきて特に疑問も持たずにきたものの、3年前に甥が生まれたときに、現在の管理者であるグレアム伯父がひょっこり現れて“わしがお前さんに引き継ぎたくなったら、現れるからそれまで待ってろ”と言い残していったときに、あらためて自分が今までいた世界から離れるのだな、と認識した。

 しかし、この伯父はいつ頃引継ぎをするのかを明言しないまま戻ってしまった。俺は王宮に仕えるわけにもいかず、かといって他の職業につくわけにもいかず・・・と宙ぶらりんの状態になってしまった。

 当時22歳の俺は宙ぶらりんの時間を何に費やすかを考えた。大学院に入学して魔道士としての勉強をするのも悪くないし、管理者になると王国に戻ることもなくなるだろうから王国中を旅するのもいいかもしれない。

 両親と兄夫婦に相談したところ、旅先からの連絡を必ずすることと次の旅に行く前に必ず帰宅して報告をすること、の条件つきで賛成してくれた。大学院に通うことに関しても特に反対はされず、今勉強しておくことはいいことだと励まされてしまった。


 それから3年。俺は今年、王国一周の旅を終え大学院も無事卒業した。家のほうも両親が引退し別宅に移り、兄夫婦が当主夫妻になった。しかし伯父がいつ引き継ぎにくるのかがいまだに不明なので、今度は何をしようかと考えていたところ兄夫婦から思わぬことを頼まれた。

「デルレイの家庭教師、ですか?」

「そう。家庭教師というより・・・・遊び相手というほうがいいかもな」兄がうなずく。

「遊び相手、ですか。」

「そろそろ魔力の使い方を教えなければならないのだが、私が教えられる時間は限られてるだろう?アレンもデルレイを一緒に指導してほしいのだ。」

「僕でいいんですか。他にも優秀な魔道士はいますよ」

「私の知ってるなかじゃ、お前が一番だ。身辺の調査をする必要もないし」

 身辺の調査は確かに必要ない。しかし優秀かどうかは・・・どうも兄は俺を買いかぶってる気がする。

「私たちは身分で人間性をはかるような偏見をもつ人間になってもらいたくないの。私たちの教育を手伝ってもらえないかしら」義姉も兄に口ぞえする。


 偏見といえば、義姉は王都の一般家庭出身で、いわゆる「庶民」。真面目で堅物の兄が

一目ぼれして、どうにか結婚までこぎつけたんだった。

兄と結婚するときにうちの一族(といっても両親と伯父しかいないけど)は反対どころか義姉の人柄を皆が気に入って、揃って賛成した。

でも、いわゆる「由緒正しいお家柄」のなかにはやっかみで義姉に嫌がらせをした人間もいたという話を兄から聞いたことがある。

もちろん、そういう連中には兄や父がそれ相応の対応をしたけど、それでも兄は義姉から結婚を断られるんじゃないかと結婚当日まで心配していたっけ。

 昔から兄には勉強をみてもらったり、魔法練習の相手になってもらったりと世話になりっぱなしだったし、義姉も居候の俺にいつも優しい。甥っ子のデルレイもかわいいし、ここは恩返しのつもりで頑張るか。

「わかりました兄さん。僕でよかったらデルレイの家庭教師になりますよ。ただ、ランスが間違いなく面白がって混じってきますよ」

「ランスか。別にかまわないよ。あいつはいまだにオーガスタからいい返事をもらえないのか?」

 兄の発言を聞いて、義姉が思わず噴出す。

「ええ。いまだに」俺がそう返事をすると、兄は楽しそうに笑った。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


主役が登場しました。

プロローグでさっそく誤字が発覚してしまい

あわてて自分で書いた「魔道士~」を確認しております。

いやいや恥ずかしいです(汗)。




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