8限目:友達だよ
ももり「何!?なんでそんなにソワソワしてるのよ!?」
昼食のパスタを食べながら百津ももりは大善に問いかける。
大善「別にソワソワしてねーよ!!たださ…」
大善は明らかに挙動不審である。
ももり「あっ!日宇君がこないからだ。大ちゃん可愛いー!!」
大善「ちげーよ!!」
意地悪そうな笑顔のももりとは裏腹に、大善の顔は真っ赤である。
ももり「いくら喧嘩した相手でも、友達だから気になるのよねー」
大善「そんなわけあるかよ!!」
そういうと、大善はトンカツを一切れ口に放り込む。
「日宇辰之助君なら病院ですわ。」
その声に二人は後ろを振り返る。
そこに居たのは現川二重であった。
大善「それどういう事だよ?」
ももり「なんで病院!?」
その問いに、二重は微妙な顔で答える
二重「怪我して入院してるみたい。しかも結構重症らしいわ。」
すぐさま、ももりは大善のほうを見る。
大善「い、いや、俺との怪我じゃねーって!!」
二重「そうですわ。なんでも昨日の放課後に倒れているとこを病院に運ばれたらしいの。」
大善の眉がピクリと動く
二重「幸い、命に関わるほどのことでもないらしいですわ。」
大善「現川。病院の場所わかるか?」
二重「大善君のためなら、すぐに調べますわ。」
大善「ありがとな。」
そういうと大善は何かを考えながら行ってしまった。
ももり「でも、なんで日宇君は怪我なんかしたのかしら?」
ももりが現川に聞く。
二重「さて、どうかしらね。でも、日宇君を見つけたのは柔道部らしいですわよ。」
「じゃあ、日宇君の病院でも調べてきましょうかね。」
そういうと、現川二重も行ってしまった。
ももり「柔道部…」
◇◆放課後◇◆
大善「お前もついてくんのか?」
ももり「当たり前でしょ!!知らない仲じゃないんだから!!」
二人は辰之助が入院してる病院に向かっている。
大善「ここだな。」
そして二人は病院に入り、辰之助の病室に向かった。
大善「よし、ももり、先に入ってくれ!!」
ももり「えっ!?なんでよ!?そこは男らしく大ちゃんが先に入ってよ!!」
大善「なんていうか、こういう時なんか照れるよな。」
ももり「早く早くっ!!」
ももりに背中を押される大善
大善「わ、わかったって!!」
そして大善は一呼吸置いた。
大善「たーつーのーすーけっ!!!!元気かー!?」
あまりにも大きい声に廊下を歩いていた看護師に睨まれる
ももり「声大きいって!!ほんっと大ちゃんバカなんだから!!」
大善「わるかったよ!!!!」
辰之助「ここは病院なんだから少しは大人しくしてくれないかな?僕は病人なんだよ。」
大善「辰之助!!」
辰之助は女の子5人に囲まれながらベッドに座っていた
ももり「あら、お邪魔かしら」
大善は横で口をパクパクさせてる
辰之助「いや、君らが来てくれて嬉しいよ。じゃあ君たち、少し席を外してくれないか?」
女子「わかったー!!」
そして女の子5人は部屋から出ていった。
大善「モテモテで羨ましいな!!!!」
大善が明らかに不機嫌に言う
辰之助「まあ、お友達だよ。別にモテてる訳じゃないさ。」
大善「かっ、ブラッドハンター様が色ボケハンター様だったなんて知らなかったぜ!!」
ももり「大ちゃんは女の子からは怖がられてあんまり喋ったりしないもんね!!」
大善「うるせーよ!!」
辰之助「ところで、君らは僕のお見舞いに来てくれたのかい?」
ももり「そーなの!!大ちゃんが友達だからお見舞いに行くって(笑)」
大善「だから、うるせーよ!!」
大善の顔が赤くなるのを見て、辰之助が笑う。
辰之助「そうなんだ。来てくれて嬉しいよ!」
大善「全然いいぜ!!」
そういうと、大善の表情は真剣な顔つきに変わる。
大善「ところでよ、その怪我どうしたんだよ?」
辰之助の顔も真剣な顔つきに変わる。
辰之助「別に、なんでもないさ!!ちょっと派手に転けちゃってね。」
大善「佐々先輩か?」
辰之助「!!??」「なんだ、わかってたの?」
大善「なんとなくな。オレのせいか?」
辰之助「関係ないね。僕はブラッドハンター。ただ狙った獲物がそこにいただけさ。」
辰之助は天井を見つめながら言う
大善「友達だろ!!!!隠すなよ!!!!」
大善は怒鳴る。
辰之助「だから、ここは病院だって…
まあ、君と関係ないって言えば嘘になるけどね。」「でもね、敵討ちとか変な考えはしてほしくないね。これでも一応、男と男のサシの勝負だったんだから。」
大善「そうか…そうだよな。ダチがやられたから敵討ちとか子供だよな。」
「でもよ、オレも男と男のサシの勝負がしたいって言ったらお前止めるかよ?」
辰之助は少し考えて答えた。
辰之助「それは止めないね。でも君にそれをするだけの理由があるのかな?」
大善は凛と答える
大善「ムカつくからだよ!!!!」
またもや大きな声で怒鳴る大善
辰之助「君はほんとに単細胞だね。その発言はもう子供だよ。…まあ、嬉しいけどさ。」
「止めてもやる気でしょ?」
大善「おう。」
辰之助「なら、僕から忠告だね。彼をスポーツマンか何かと思わない方がいい。彼は野獣だ。それもとびきり野生化したね。」
大善「わかった。体が痛むとこ邪魔して悪かったな。」
辰之助「気にするなよ。‘友達’だろ。」
大善「あぁ!!」
そして大善は部屋から出ていく。
ももり「急にごめんね。大ちゃんスイッチ入っちゃったみたい!!」
辰之助「君も彼の世話大変だね。てか君の方こそ、番犬がいるせいて男がよってこないんじゃないの?」
ももり「私には、大ちゃんだけでいいから…」
辰之助「そうかもね。」
ももり「なら、お大事に」
そして、ももりも部屋を出ていく。
辰之助「ほんとうに面白いよ。あの二人。」
誰もいなくなった病室でただただ天井を見つめていた。