5限目:間違ってはいけない
ブラッドハンターの接触から1週間。ももりは熱を出して休んでいる。
大善「あ~あ。今日はももり休みか。帰りにプリンでも買っていってやるかな。」
二重「今日は二人きりだね大善君//」
これをチャンスとばかりに現川二重が大善にまとわりつく。
大善「結局お前は部活は何も入らなかったのかよ?」
二重「いや、バレー部に入りましたわよ。でも今日は大善君と二人きりだから部活休んじゃおうかしら?」
二重は満全の笑み
大善は苦笑い
今日はももりがいないのでツッコム相手は誰もいない。
「久しぶりだね女ノ都君。」
大善「日宇!!」
目の前にはどこから現れたか日宇辰之助がいた。
二重「日宇って…もしかしてD組の…?」
大善「ああ。ブラッドハンターだよ。」「現川、お前はもう部活行けよ。何かこいつオレに用があるみたいだし。」
二重「でも…」
大善「行けって!!!!」
二重「はいっ!!」
大善が怒鳴ると現川二重はそれに従って行ってしまった。
辰之助「おやおや。女の子を逃がすなんて中々男前だよ女ノ都君。そんな事しなくても僕は女の子には手を出さないのに。」
「それともあれかな。今から僕にこてんぱんにされるのを見せたくなかったのかな?」
大善は笑う。
大善「どっちも違うぜ日宇辰之助君よ。今からお前を打ちのめすオレの姿を見せたくなかったんだよ。」
辰之助「君は僕が何も知らないと思っているのかい?」
今度は日宇辰之助が笑う。
辰之助「この1週間僕がなんで君の元に現れなかったかわかるかい?」
大善「???」
日宇辰之助はさらに続けた。
辰之助「百津さん。あの子がいたから僕は君には手をださなかった。」
大善「もしかしてお前…」
辰之助「ああ、あの子は何か特別な力を持ってるみたいだね。あの子の指事はとても適格だ。」
「それと。君は‘運動神経’がないっといってるそうだか、そんなことはない。むしろ、人より優れているくらいだ。」
大善「お前ちょっとオレらの事調べすぎてね?」
かまわず辰之助は話を続ける。
辰之助「君はとても不器用で、何かをするならその1つの動きしかできない。例えば、避けるなら避けるだけ。蹴るなら蹴るだけ。そうだろ?女ノ都君。」
大善はため息をつきながら話す。
大善「そうだよ。オレは何かをするときは‘ある程度’を越えたらひとつの事にしか集中できなくなる。こんなに早く気づかれたのは‘あの糞野郎’以来か…」
大善は何かを思い出したように言う。
辰之助「あと百津さんのことについても教えてくれよ。あの能力は何なんだ?」
大善「ももりのあの能力は神の裁判つって、何かをするときに最適な判断を瞬時にできるんだそれが相手が何人いようとな。こんな変な能力に目覚めたのもオレのせいなんだけどな…」
辰之助「やっぱり。そんな所か。なら、今百津さんがいない君は‘ただの運動神経がないやつ’になってしまうね。だって僕の攻撃はその‘ある程度’を越えてるはずだからね。」
そういうと、辰之助はけん玉を取り出した。
大善「???なんだ!?今からけん玉勝負でもするつもりか?」
直後、大善の目の前を丸い物体がかすめた。
辰之助「思い出してくれた?最初にあったときを。」
大善が何かに気づく。
大善「そうか。前のときも今も、オレをかすめた‘そいつは’けん玉なのか。」
辰之助「そうだよ!!でもただのけん玉じゃないよ。紐の部分は特殊なゴムで伸縮自在。玉の部分はベタに鉄球にしてるからね。」
けん玉を見せながら日宇辰之助が言う。
辰之助「おっと。卑怯だなんで言わないでね。見ての通り僕はこんな小柄だし、力だってそんなない。これでフェアだよね。」
大善は何食わぬ顔で言った。
大善「別に卑怯だなんて思わないよ。」「後、お前は勘違いしてるぞ。」
辰之助「?」
大善「ももりのあの能力は、別に俺を助けるためのやつじゃねぇ。」
辰之助「それはどういうことかな?」
大善「あの能力は俺がやり過ぎないようにするための能力だ。そこんとこ間違ってはいけないぜ。」
辰之助「じゃあ、この攻撃をかわしながら僕に攻撃してみてよ。」
そう言うと両手に持っているけん玉をふりかざした。
鉄球わ独自な軌道を描きながら大善に向かっていく。
そして攻撃が当たり地面に倒れたのは日宇辰之助のほうだった。
辰之助「ガバッ。うぅ…な、何故だ!?何故僕の鉄球を全部かわして、なおかつ僕に攻撃できた!?しかも蹴りじゃなくて殴られた!?」
大善「ひとつ言い忘れてたよ。俺にも能力があるんだ。」
辰之助「な、何!?」
大善「底上げの力これで俺は自分の力をいつもの倍以上に引き出せる。でもこれを使えば相手をやり過ぎる可能性があるから普段はももりに頼んでやり過ぎないようにしている。」
辰之助「ふふ…なるほど。僕は見誤っていたのか。」
大善「なら、もう決着はついたし、俺は帰るよ。」
そういうと大善は振り返って帰ろうとする。
その時、右腕に痛みが走った。
大善「痛っ!!!!」
大善の右腕の制服は破け、血が流れている。
辰之助「見誤ったのは僕だけじゃないようだね。」
日宇辰之助のさっきまでけん玉についていた鉄球がはずされ、先端はナイフのような鋭利なものに代わっていた。
大善「お前!!まだやるのか!!??」
辰之助「僕はブラッドハンターだよ。狙った獲物は逃がさない。後、これは僕の最後の武器。名ずけて剣玉だね。」
日宇辰之助がかまえる。
大善「ならこっちも本気でいくぞ。」
その瞬間、日宇辰之助の怒涛の攻撃が繰り広げられる。
辰之助「はーっははは!!体格も力もないけど、鉄球を外した僕に速さで勝てるやつはいないよ!!」
少しずつ攻撃が大善に当たり始める。
辰之助「さあ!!早く君のかえり血で僕を新たなブラッドハンターにしてくれよ!!!!」
直後。
日宇辰之助は遥か後方に吹き飛ばされた。
大善「‘本気’の蹴りだぜ。」
大善の蹴りが日宇辰之助を捉えた。
辰之助「…なんで…なんでお前みたいなやつがA組なんだ!!!!」
地面に倒れたまま日宇辰之助がいう。
大善「はぁ?知らねーよ。とにかくこれで本当に決着な。」
辰之助「ブラッドハンターもこれでおしまいだね。でも、これからも‘僕みたいなやつ’に君は目をつけられるだろう。」
「まあ、頑張れよ、銀狼の王子様。」
大善は無言で去っていく。
辰之助「女ノ都大善か…」
辰之助は空を見上げた
辰之助「ふふ。おもしろい…」
そしてゆっくり立ち上がり、日宇辰之助はどこかへ消えていった。