第1話「出会い」
家を出て三分後。
私は横断歩道の前で止まっていた。
今はこちらが止まる赤信号で、左右から青信号で進む車たちが走っている。
コンビニは横断歩道を渡りすぐ目の前だ
買ってくるものは飲み物とお菓子。
お金は親からお小遣いを貰っているので、問題はない。だが、さすがにお小遣いだけでは物足りず、今まで求人情報を見ていたわけなのだが。
「暑い、早く帰ってバイト探さなきゃ。それと、あの診断もう結果出たごろだよね」
どうもあの診断が気になってしまう。
占いと同じでその結果を信じるか信じないか人それぞれだが、私は出た結果を信じたいと思っていた。
赤信号が青信号へと変わり、今まで止まっていたこちら側の人や車が動き始める。
横断歩道を通り、目の前にあるコンビニへと向かう。
すると、向こうから歩いてくる一人の子に目が留まった。
黒髪ロング、どこも完璧な容姿、少し鋭い目つき。私と同じ身長。
とても綺麗で、私はその子に目が留まってしまった。
綺麗と思いながら、私とその子はすれ違う。
近くで見ても完璧で、風に乗ってその子からいい香りが漂った。香水だろうか、とても甘くうっとりしてしまいそうな香りが鼻をくすぐった。
反対側にたどり着き、後ろを振り返る。
「すごく綺麗だったな」
既にその子は見えなくなってしまっていた。
だが、あの姿と少し鼻をくすぐった香りは忘れられない。
コンビニへ用事を済ませると、私は真っ直ぐに家へと向かった。
弟が待ってるし、それと、あの診断の結果が気になるからだ。
コンビニから数分して、汗がダラダラと出てくる。
帰ってからシャワーを浴びたいな。そう思いさせるぐらいの暑さだった。
目的の家が見え、急いで中に入る。靴を揃えるのなんてどうでもいい。
今はとにかくあの結果が気になる。
私は弟の部屋に寄りジュースを渡すと、自分の部屋へ急いだ。
少し急いだので息が上がっている。
手を胸に当てて呼吸を落ち着かせ、ドアノブに手を回す。
するとドアが開き、中に入った。
「え、え? あの誰ですか?」
部屋の中に誰かがいた。
知らない女の子、しかも、玄関にはお客さんの靴などなかった。
一体誰だろう? どうして私の部屋に?
いろいろなハテナが思い浮かぶ。
よく見ると黒髪ロング、サラりとした容姿、鋭い目つき、同じ身長。
どこかで会い見た覚えがある。
私は頭を回転させ、思い出そうとする。
少し彼女から視線を外し考えていると、歩く気配がした。
彼女は私に向かってくる。
「あ、あの」
「あなた、星波陽菜さんね」
突然私の名前を言われ驚いた。
「そうですけど、どうして私の名前を?」
「あなたがこのサイトに登録してくれたんでしょ。知っていて当然よ」
彼女はパソコンの画面を指していた。
サイト、つまり、あの診断のか。
でも、どうしてあれをしてこの子がくるの?
「あなたは一体何者なんですか?」
そう聞くと、彼女は私の真横に来た。
しかも、すごく近い。
そしてあの香りが漂ってきた。
そうだ、この香りはさっきの交差点で会って見たんだ。
姿と香りで思い出した。
「話すと長くなるわ。まず仕事に行くわよ」
仕事? 一体何の?
私はまだ働く場所も決まってない。
そう考えてる内に彼女は部屋から出て行った。
「あ、待って」
仕方なく私は後を追いかける。
いろいろと聞きたいことは沢山あるが、まずは、彼女の後を追うことが大事だった。