第15話「修学旅行の説明」
体育の授業も終わり、錐音たちは校舎の中へと入っていった。
体育着から制服へと着替える。
次の授業の準備のためか、何故か、桜は他のみんなより急いでいるように見えた。
気のせいだろうか。
そう思いながら、着替えていると、突然桜は机をバンッと叩いた。
何だろうと思い、みんなは桜に注目する。
「皆さん聞いてください。次の授業はLHRです。何をするか分かりますよね?」
何をするか?
みんな分からないためか、顔を見合わせていた。
私たちも顔を見合わせる。
考えている間、桜は言った。
「修学旅行の話ですよ。修学旅行♪」
「ああ、修学旅行かー」
みんなは納得し、私も納得した。
そうだ。
もうすぐ修学旅行の時期となる。
当然、行先は京都だろう。
いや、北海道か?
まぁ、これから旅行の話をするわけだ。
「修学旅行? 何それ、陽菜」
突然、錐音が聞いてきた。
そうか、錐音は修学旅行を知らないのか。
いや、でも、死神の学校でそれらしいものはあったろうに。
なかったのか。
「錐音は、えーと、その」
ここで、死神の学校と言えないので、小さい声で聞いた。
「死神の学校で旅行っていうのなかったの?」
「旅行? そんなの聞いたことないわ」
「そうなんだ。旅行っていうのはね――」
最初から順に説明した。
「そういうわけね、つまり、違う建物でお泊りするってこと?」
「そういうことになるかな」
やっと理解してくれた。
私は軽く溜息をついた。
次の時間、五時間目となった。
LHRの時間となり、生徒たちは席についた。
すると先生がやってきて、桜のいうとおり修学旅行の話となった。
「これから修学旅行の班決めとなります。まず、一緒に行動する人を決めてください。では、これから自由です」
先生は自分の席につき、私たちを見守った。
生徒たちは席から立ち上がり、混乱状態となっていた。
もう決めてある生徒たちはチームができ、まだ決めていない人は立ったまま他の生徒の様子を窺っていた。
私の場合、このメンバーだが。
「陽菜、パートナーとして私と組みなさい」
「承知しました」
「ざくろ様、一緒に組んでいただけませんか?」
頬を赤く染め、ざくろに桜は話した。
何となく照れくさそうな表情で、こう話す。
「ざくろ様って、様はいらないでしょ。様は。た、ただの、ざくろでいいわよ」
「えっ、本当ですか?」
「ま、まぁ、これくらいのこと許してあげるわ」
「ありがとうございます、ざくろ」
ツンと横を向いたが、実をいうと嬉しいのだろう。
何となく表情で分かる。
「で、行先はどこなの? 陽菜」
「え、ああ、どうやら北海道みたい。さっき他の生徒が先生に行先を聞いてたから」
そう、行先は北海道となった。
「そう。それならいいわ」
北海道となると、今の時期、寒いだろう。
大体は予測付く。
風邪を引かないように気を付けていかないと。
幼稚園児や小学生の時みたいに、旅行前は楽しみで眠れず当日に遅れたりとか。
こんなこともあるだろうか。
考えるだけで楽しみで仕方ない。
恐らく、錐音もそうだろう。
本性で現さず、心の中では楽しみでいっぱいのはずだ。
「さぁ、班決めは決まりましたか? そろそろ、本題のほうに入ろうと思います。皆さん、席についてください」
先生の呼びかけで、生徒たちは席につく。
そして、本題の説明となった。
まだ、修学旅行がどこに行くのか分からない。
でも、これから分かることになるだろう。